本

『写真を愉しむ』

ホンとの本

『写真を愉しむ』
飯沢耕太郎
岩波新書1106
\777
2007.11

 デジカメ時代に入り、ますます写真が多くの人に気軽に扱えるようになった。失敗しても経済的ダメージを受けないデジカメは、とにかくまずシャッターを押すことから始まるという撮り方を普通にした。
 かくいう私も、毎日撮影している。三男が生まれてからは、一日とて写さなかったことはない。こうなると、継続は力なりそのものである。
 著者は、日大の芸術学部写真学科を卒業している。だが、撮影のほうに自分の才能の限界を見て、写真評論家としての道を歩み始めたという。
 おそらく、謙遜も含まれていると思う。私たち素人から比べて、とてつもない知識と技術をもっていることは間違いないので、ちょっと撮影したところで、私たちが適うわけがないだろう。それでも、多くの写真を鑑賞し、またそれを批評することで、時代を読み、あるいはまた写真の楽しさを人々に伝えていくという使命を負い、実践しているのであろう。
 全体的に、それほどの情報量をこの本の中で保ち伝えているわけではないように思う。しかし、歴史からして、そして自分の写真を人に見てもらうための方法や考え方などが、具体的に紹介されている。
 妙な感情論や、精神論などはない。写真をどうやって形にしていくか、具体的な方法が告げられる。実際に何をすればよいか、どうやっていくのか、その歩みが語られる。だからこそ、これは極めて現実的な写真表現のガイドとなっている。
 結局、ものの道理の分かっている人とというのは、きっとこういう書き方をするものなのだろうということが、よく分かった。




Takapan
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