本

『写真の疑問大百科』

ホンとの本

『写真の疑問大百科』
日本カメラ社
\1575
2004.4

 デジタルカメラ、略してデジカメの全盛時代を迎えた。初期には、とうていその画質は銀塩に及ばなかった。私も、二人目の子が産まれてしばらくしたときは、一眼レフを求め、それで今まで後悔したことはない。デジカメがどんどん出る時代になったときにも、銀塩には遠く及ばない、いわばホームページに載せるくらいが適度の使い方と思われるものだった。それが、今はデジタルの一眼レフも比較的廉価になってきつつある時代である。お金さえあれば、それは魅力的だ。
 困ったのが、写真雑誌だ。いち早くデジタル主眼に切り換えたものは今もそこそこ売れているようだが、頑固に銀塩にこだわったカメラ雑誌は、衰微の一途を辿っている。根強いファンがいる一方、多数の購買層を誘えなくなっているからだ。
 このようなフォトマガジン増刊号的なものをお薦めするのは、この場で相応しくないかもしれないが、どうしてどうして、的確で良心的な編集は、多くの方に見て戴きたいと思う内容である。「日本カメラ社」はかなり堅い方面の会社だが、デジタルに対しても、銀塩のテクニックを参考にしながら、どう違うか、どう使えばよいか、と、素人にも読み進める程度の説明を貫きながら、この本はまとめられている。それは、ほんの初心者のためにも作られているし、中級者にも不満を抱かせないような形で説明されてもいる。Q&A形式で説明されているのも、案外分かりやすい。知りたいポイントが明白だからだ。
 具体的な写真が多く、パソコン画面まで写真入りとなると、扱い方も分かりやすいというものだ。それでいて、かなり突っこんだ内容の解答も多く、著作権の問題まで丁寧に説かれている。
 ともすれば、この手の雑誌形式の特集号は、カメラメーカーの援助を仰ぐために、新製品の紹介が主な目的ではないだろうかと思われるような、ハードのスコアだらけのものが氾濫する中で、この大百科は、さすが堅実な日本カメラ社であるせいか、操作法や用語の疑問、テクニックなど具体的で親切な解説が、実に心地よい。
 私のように、銀塩の一眼レフから次第にデジカメスナップ中心へと変わってきた者にとっては、この本は実にありがたく、分かりやすい。ハッとする頁や、へぇ〜と感心する部分もある。今の時代、暗室の作業を丁寧に教える本も珍しかろう。また、デジカメ用に、画像処理の方法やソフトなども紹介されており、まずは万能の説明本となっている。デジカメについて操作は慣れているものの、そのメカやシステムについての好奇心が薄れていない方には、ぜひお薦めしたい。




Takapan
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