本

『親と教師にとって、すごく大切なこと』

ホンとの本

『親と教師にとって、すごく大切なこと』
ロン・クラーク
松本剛史訳
草思社
\1470
2005.3

 テンポのよい叙述が巧いと感じていたら、ベストセラー作家であった。『あたりまえだけど、とても大切なこと』『みんなのためのルールブック』の著者である。あいにく私はそれらの本を通読していないが、書店で手にとってみたときの印象は、こうしたあたりまえのことを、分かったつもりにならないで提示することが今は大切なのだというものだった。
 子どもの視点で、子どもが知りたがっていること、学びたいことの本音の部分を取り上げた。意外と、こうした類書が見当たらない。
 教育的指導をしていくにあたって、どのような姿勢で、どのような点に気をつけていく必要があるだろうか。教職や類似の立場にある人は、体得しているかもしれないものを、一般の親にも考えてほしいという願いがこめられているような気がしてならない。
 正直に言うが、私はこの本を全部読んではいない。但し、要点は拾い読みのようにして、最後まで頁をめくっている。それに、この本が唯一のカノンであるとも言っていない。だが、ところどころ太字で目立つように書かれてあることに、なんと深い含蓄があることか、と思う。いや、現場の教師は、多分に体得的に心得ておいたことの繰り返しであるかもしれない。しかし、言語化できるというのは、よいことである。深い思索というのは、最後まで言語で考え続けた勲章なのである。
 子どもに情熱をもつこと、そのときにどういう問いかけを常に自分の内にもっていなければならないか、そんなことを、現場の教師であり親でもある私は、実感する。
 著者の経験に基づく、様々な事柄についても、熱い心が伝わってくる。しかも、現場からすると、至って当たり前だと人が顧みないかもしれない事柄についても、熱意と共に私たちに伝わってくるので、驚きであり、喜びでもある。




Takapan
ホンとの本にもどります たかぱんワイドのトップページにもどります