本

『3歳からのお手伝い』

ホンとの本

『3歳からのお手伝い』
寺西恵里子
河出書房新社
\1260
2005.6

 全編に写真が効果的に用いられ、イラストも柔らかく、温かさが伝わってくる。
 子どもを育てるという視点であるが、サブタイトルの「やさしさと思いやりのこころを育てたい……」という言葉は、この本にはぴったりのものとなっている。
「毎日の生活の中で幸せを感じ取れる子になってほしいと願っている」という親の視点を中心にして、生活の一員としての役割を果たし、それがこころの充実にもなっていくという信頼を、この本は伝えていく。
 3歳になったら、ひとつだけ家の中のことをしてもらう、という話を聞いた著者が、自分の生活にも当てはめてみた。それが子どもの輝く姿につながったことを発見して、ぜひ多くの人に考えてもらおうと思った。
 炊事から掃除・洗濯、家事一般、動植物の世話とおおまかな分け方の中で、具体的に、洗濯物を干すとか靴を揃えるとか食器を並べるとか、子どもにどんなことができるかが紹介されている。
 つい、全部欲張りたくなるが、まず一つである。これだけ多くのヒントがある中で、一つを選ぶ方が難しくなる。でも、やはり一つ。家庭により、生活習慣は異なるわけだが、この中にはきっと、あてはまるものがあるだろう。
 さらに優れた特徴は、元サンリオのデザイナーとしての著者の真骨頂とも言うべきところなのだが、手伝いに必要なグッズを、子どもの大きさに、子どもの気に入るように、製作してしまうところである。雑巾一つにも、可愛いアップリケを入れる。牛乳パックで踏み台を作る。お掃除には手作りのミトンで拭くことができるようにする。洗濯ばさみだって、半円にはさんでいけばライオンのたてがみになるように、顔を描く。
 なんて楽しいんだろう。しかも、これらのグッズは、作り方が丁寧に説明されているのだ。
 ただ、改めて思うには、私は家庭でこうした家事をやっていないぞ、ということ。まるでこの本が、私自身のために書かれているかのように思えてきたほどである。生活の基本が、人間をつくる。それは本当だ。片づけや水やり、靴を揃えたり拭いたりということ、私もちゃんと実行しなくちゃ。 




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