本

『オタマジャクシハンドブック』

ホンとの本

『オタマジャクシハンドブック』
松井正文解説・関慎太郎写真
文一総合出版
\1470
2008.3

 正式には「カエル・サンショウウオ・イモリのオタマジャクシハンドブック」と書かれている。
 カエルだけではないのだ。
 両生類の子どもの時代の名前として、オタマジャクシと呼ばれるものが存在する。見た目が少々違う部分もあるが、概ね同じような姿をしている。
 それを、真正面からアップで捉えた写真が表紙を飾っており、ひとつ開いたところにも、ずらりと並んでいる。これだけで、十分笑える。
 1頁に1種ずつ、オタマジャクシが紹介されていく。それぞれの生態データが記され、美しい写真が掲げられる。
 見ているだけで楽しい。
 カエルのような両生類は、環境の変化を受けやすい。水の汚染を簡単に受ける。愛嬌があるだけではない。害虫を食するという意味でも、これがいなくなると、人間にとり苦しいことが起こるのだ。いや、そんな狭い了見でものを言うのはよそう。この地球上の生物には、それぞれに存在価値があるわけで、それが取り除かれてしまうということは、他の全体にも影響が及ぶはずである。
 ガスを認知するカナリアのように、カエルは、環境の変化をいち早く私たちに知らせてくれている。
 その意味でも、オタマジャクシは、私たち人類の未来を示す指標となりうるのである。
 精子をオタマジャクシと称するのも、こうなってはかなり深刻な話題となってくるかもしれない。




Takapan
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