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『絵本から擬音語擬態語ぷちぷちぽーん』
後路好章
アリス館
\1470
2005.10
絵本の編集者が、黒子を脱して、絵本の世界について語りに語った本。しかも、専門的なものとしてではなく、誰にでも分かりやすいものを紹介してくれた。
テーマは、オノマトペ。擬音語や擬態語などと、私たちは呼んでいる。
たしかに、それらを多用すると、あまりにも幼稚に聞こえるかもしれない。だが、それを使わないで文章を書く、あるいは言葉を喋っている人は、日本人の中には、ふつういない。
そして、これは耳で聞くことによって、ますます生き生きとした効果を現す。だから、絵本は、読み聞かせが大切なのである。
葛原しげるが「夕日」の作詞をしているとき、「キンキンキラキラ」と書いてみていたのを、娘が、それは朝日の輝きだよ、夕陽は濁るんだ、というふうなことを教えてくれたために、名作が「ギンギンギラギラ」とできたのだ、と聞いたことがある。
子どもの感覚が知りたい、と絵本作家は考える。子どもにどう響くかがポイントである。パジャマのぼたんをとめる音を、子どもから「きゅっ」と教わった話が、この本に載せられている。新鮮なときめきを、覚える。
考えてみれば、マンガのヒット作は、こうした効果音めいた表現に長けたものであることがある。新しい感覚で、読者に受け容れられたら、皆が読みたくなるのだ。
後半は、こうしたオノマトペが楽しく使われている絵本の紹介。これもまた、いい。こうした表現そのものに的を絞って、絵本というものを味わうことができるというのは、実に楽しい。絵本という世界が、このように、様々な角度から取り上げられ検討されるようになったということは、それだけ成熟していっているということになるかもしれない。ますます絵本から目が離せない。
ところで、日本語は、擬音語や擬態語の多様性で有名であるという。原著がさほど売れなくても、日本語に訳した絵本がやたら売れている例も多いという。それは、翻訳者が効果的なオノマトペを以て訳し、それが実に快く受け容れられた場合のようである。
日本語は、こんなにも生き生きとした可能性を秘めているのだ。