本

『0〜3歳児の親子ふれあい手づくりおもちゃ42』

ホンとの本

『0〜3歳児の親子ふれあい手づくりおもちゃ42』
多田千尋
黎明書房
\1680
2004.5

 子どものための工作のヒントや型紙などを記した本は、沢山ある。目的に敵うものがあれば、実に利用価値の高いものである。人のアイディアで、その通りに作れば、子どもたちにも大うけ、という具合だからである。
 ただ、沢山掲載されている本ならばそれだけ沢山利用できるのか、といえば、あながちそうではないように感じる。作る手間や材料で無理なこともあるが、なにぶん、フィーリングとでも言うべきか、作りたいという気持ちにならせ、実際に作ることへ読者を動かす力は、言葉で説明できないような働き方をする。実際に作ってみたいと思わせるものは、与えられたメニューの、ほんの一部に過ぎない。
 ところが、この本は、0〜3歳児に絞った点もよかったが、「作りたい」という思いに駆らせる何かをもっているように思われてならない。
 何故なのか、よく分からない。材料が手近なせいか。作る手順が単純で、そう難しくはないように見えるからか。可愛いイラストが、作り方ばかりでなく、作った後の遊び方や効果などを、楽しそうに伝えているからだろうか。
 不思議な魅力をもった本だと感じた。
 私など、「四次元ボール」なるものを、新聞紙で、借りたその日に作った。よいオモチャとなった。
 頁をめくると、多くの紹介されたオモチャが、すでに商品化されているようなオモチャに似ているように思えてくることがある。すると、ちょっと待てという気持ちになる。金銭を支払い、オモチャを買う必要がないかもしれない、と。買うしかないと思い込まされていた、幾多のオモチャが、実は簡単な道具ですぐに作られてしまうのだと分かる。あまりにも商売に乗せられてはいなかっただろうか。実は自分ですぐにオモチャなんか、作ることができるのだと、改めて思い知らされるような気がするのである。




Takapan
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