本

『コクヨの結果を出すノート術』

ホンとの本

『コクヨの結果を出すノート術』
コクヨ株式会社
三笠書房知的生きかた文庫
\890+
2020.2.

 まだ発行されて間もない文庫だったが、格安で売られていたので買った。ノート術などはこれまでもかなり見てきた。しかも近年は電子メディアが花盛りであって、いわばアナログのノートに関する本など売れるのだろうかという心配もある。しかし、スマホで管理できる時代になっても、なぜか年末や年度末を見越して「手帳」が書店に居並び、また手帳の使い方のような本がかなり出ているところを見ると、強ちノート術というものが時代錯誤でもないのだということが分かる。
 実際、これは「コクヨ」の発行である。ノートの最大手であるからという理由のほかに、そのコクヨの社員が、どのようにノートを使っているのか、ということは、プロの技を味わうということに等しい。会社のメソッドが、見開きひとつという見やすい形で100も集められているのは、なんとも魅力的ではないか。
 もちろんコクヨのノートを使って、ということで良いが、それがノートの種類ごとに使用法が並べられているので、実用的だと思う。まずは「方眼ノート」、そこに現れたのが、測量野帳というもの。測量士が持ち歩き使うものらしい。タフで、薄くて見やすくて、フィールドワークには確かに良さそうだ。これに限らないが、方眼をどう生かすか、様々な意見が紹介されている。
 次が「横罫ノート」。オーソドックスだが、本来メモとはどういうものか、基本的な認識を改めて突きつけられるようであった。それから「無地ノート」。罫に制約されない自由さがある。イラストなどにはもってこいだろうが、ちょっとした知恵であっても、「これはいいかも」と思えるアイディアがふんだんにあった。
 こういうのは、カタログのようなもので、見ているとどれも良さそうに見えたり、逆に自分には関係がないと思えたりすることがある。けれども、実際に何か使い始めてから、もう一度ぱらぱらめくると良い本だろうと思う。体験してみると、最初は他人事だったアイディアが、より体験的に、現実的に捉えられるものである。すると改めて、これは実は役立つ考えだ、とか、これをやってみる価値がある、とか感じ入るものである。こうして、一読して終わりということにはせず、ノートを新たに使い始めてから、再び覗いてみるべき本だろう。文庫本で、しかもカラー写真など美しい装丁になっていて、気軽に見ることができるし、その上実用的で綺麗だ。
 そして私は、すっかり暗示を掛けられたかのようになって、測量野帳なるものを10冊まとめて注文したのであった。いや、これは聞きしにまさる名作であると言えよう。なんといってもそのタフさが凄い。また、附箋やちょっとした書類を挟んでも、びくともせずに収まっているのが不思議だ。持ち歩きになんと優れているのであろうか。
 薄くて軽くて、収まりもよいので、気に入ってしまった。もちろん、SKETCH BOOK の方眼ものである。まとめて買うと、とても安上がりだった。しかし10冊消費するのは、ずいぶん先のことになりそうだ。




Takapan
ホンとの本にもどります たかぱんワイドのトップページにもどります