本

『概説日本思想史』

ホンとの本

『概説日本思想史』
編集委員代表・佐藤弘夫
ミネルヴァ書房
\3360
2005.4

「あとがき」にある自負が強い。「いまの時点において、だれが挑戦してもこの以上の概説書は絶対にできないという確信は抱いている」
 どうしても、思想史を記すということは、その人の歴史観やあるいはイデオロギーが幅を利かすということになりやすい。極端に言うと、そのイデオロギーによって、歴史を描くということになる。
 教科書と名がついても怪しいことがあるくらいだから、果たしてこの本はどうなのだろうか。
 私は、生憎その判定をするほどの力量がない。だが、議論のあるものはそのように説明し、殊更にある特定の説を強調するなどしていないように見えるこの本では、極めて公平に、歴史上の問題を問題として提供していると理解してもよいのではないか、というふうに見えた。
 少なくとも、ある特定の歴史観を押しつけようとするような態度は、感じられなかった
 持統天皇のころに大きな変革があり、日本が日本らしくなっていったようなことを改めて知る。御真影についての簡潔な説明の中にも、なるほどと思えるような記述に出合った。随所にある、日本の宗教的背景についてのコラムは、キリスト教伝道の立場からも、大いに役立てられるのではないかと予感した。
 これを学習資料として活用して、日本への伝道について考えてみるのにも、効果があるだろうと感じたのである。




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