本

『ちょっとまじめな日本史Q&A 下』

ホンとの本

『ちょっとまじめな日本史Q&A 下』
五味文彦・野呂肖生編著
山川出版社
\1575
2006.4

 下巻の、近世・近代のみ読んだ。
 驚いた。
 学校の歴史が、というよりは、時代によって、ずいぶん歴史が変わってきているということに。
 安藤広重が、最近では歌川となっていることは、塾にいればそれなりに分かる。その詳しい理由については、調べたことはなかったが、大凡は聞いていた。踏み絵も「絵踏み」が模範解答となっているが、踏み絵でもよいという。しかし、採点などをしていると、「民選議員設立建白書」をマルとしてよいのかどうかなど、細かな問題が起こってくる。中学生相手ではマルにしているが、この本は「民撰議員設立建白書」でなければならない、と説明している。そもそも「選」と「撰」とがどう違うかなども、新選組や撰挙のところでなされているし、こだわりをもつ人にはなんとも楽しい本である。
 朝鮮に対してなのにどうして征韓論と「韓」の字が使われるのか。考えてみれば、おかしい。「潜伏キリシタン」と「隠れキリシタン」の違いも、この本で明確になった。後者は、現在もいるのである。
 それにしても、楽市楽座令とはいわず「楽市令」とのみいうようになったとか、「慶安の触書」が幕府の法令ではないとか、柳条溝事件は誤りで「柳条湖事件」が正しいとか、蘆溝橋と盧溝橋については誤り云々ではないとか、実に刺激的である。
 社会科の先生には必携であろう。地理ばかりでなく、歴史に関しても、昔取った杵柄というわけにはゆかないのである。
 中でも、学校の教科書が安藤広重という、いわば誤りを早速に取り入れて長いことそれに縛られていたという話には、呆れるばかりである。その左の頁には、江戸の人々は酒をどれくらい飲んだかという検証が行われている。今の二倍は飲んでいるだろうとのこと。もちろん、ざっくりと概算したに過ぎないのだが。




Takapan
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