本

『にげてさがして』

ホンとの本

『にげてさがして』
ヨシタケシンスケ
ポプラ社
\1200+
2025.2.

「かくれてしまえばいいのです」というウェブサイトがある。2024年の春に開設されて知った。ヨシタケシンスケの絵本のようだが、正にヨシタケシンスケが全デザインを担当して監修している。ほのぼのとした絵と口調なのだが、そのサイトの目的は、「こどもの自殺などの防止」にある。
 つまりは「生きるのがしんどい あなたのための Web空間」という言葉の許に、子どもが自由に訪ね、相談に乗る物語や、簡単なゲームで、心を取り戻すことを願っている。そういう「かくれが」なのである。
 どうしてこの話から始めたか、というと、この『にげてさがして』も、その方向性をもつからである。タイトルからだと、もうひとつ分からなかった。というより、ヨシタケシンスケの絵本は、タイトルがどちらへ走り出すのか、分かりにくいからである。そして絵本を見終わった後、しみじみとそのタイトルに肯く、ということが多い。もちろん、ヨシタケシンスケの世界に慣れてくると、タイトルから、こういう話ではないか、と見当がつくようにもなれるだろう。だが、いつもそこにあるのに、誰もが気がつかないような言葉を、絵本のタイトルはぶつけてくる。私はそう感じている。
 そういうわけで、たいがいもうネタバレをしてしまったことになるだろうが、やはり絵本の文を全部さらすようなことだけは、したくないと思う。
 初めは「よのなかには、いろんなひとがいる」というところから始まる。見開きの片方が絵、そして片方には、真っ白な頁の中央に、ひらがなでセンタリングされたような文章が、少しだが、だからこそストレートに、じっくりと、語りかけてくる。
 そのうち「にげることは はずかしいことでも/わるいことでもない」というようなことで、本題に入ってゆく。それは、世の中に絶望するためではない。信頼と希望という道も、必ず存在することを教えてくれる。むしろ、その方が、その後の大部分を占める。それがうれしい。そして、それを信ずるに値する理由も、子どもの心に届くような形で語られる。
 もちろん絵としても、ヨシタケワールドが展開する。50頁ほどあるため、たくさんのカードを配ってくれる。素朴で、おおげさではない人物たちのイラストが、またいい。読む子どもが、その登場人物に自分を重ねることができるようにと願わざるを得ない。が、きっと重ねるであろう、というようなイラストが、ヨシタケシンスケの魅力であるのは確かである。
 社会的に対処を考えることも大切であるはずなのだが、逃げたくて閉鎖的な感情になっている当事者を救うというのは、何よりも緊急で、大切なことなのである。このような絵本があることに対して、涙が出る。




Takapan
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