本

『新聞わくわく活用事典』

ホンとの本

『新聞わくわく活用事典』
鈴木伸男監修
PHP研究所
\2940
2005.1

 新聞といえば、私はネットで記事や速報をたくさん読ませてもらっている。こんなに無料で見せてもらって、新聞社に申し訳ないとさえ思う。それでも、新聞の売り上げそのものが大きく落ち込むことがないのは、やはりプリントされて家庭に配達される新聞紙に、特別な意味があるからなのだろう。我が家のように、チラシ欲しさとコラムの楽しみで購読しているような家も、少なくないのかもしれない。
 子どもたちにとって、新聞という名は、ちょっと魅力的である。私も、小学校のとき、学級新聞作りが楽しかった。自分で実際に作ってみようとするとき、実際の新聞への観察眼も鋭くなる。新聞はどんな構成になっているのか、どんなふうに作っていくのだろうか、と。
 NIE運動が、教育の中でも行われている。Newspaper in Educationの頭文字である。
 新聞記事は、すべて真実であるに違いない、と子どもたちは漠然と考えている。新聞記者は正義の味方そのものだという印象で世界を見ている。基本的に、多くの人の願望はそういうものだろう。それなのに、新聞社同志が立場の違いから意固地にも見える諍いを続けているような現実は、大人としても、残念な思いがする。
 この本は、よく図書館にあるような、学習用のものである。そして、大人が好むような、新聞社のエピソードや取材・製造の仕組みのようなものを過度に期待することはできない。
 が、子どもに理解できる最小限のことは、実に詳しく分かりやすく紹介されている。いや、一般の大人は知らないようなことが、沢山ある。新聞の仕組みについて、これくらい分かりやすく説明することも難しい。いったい、物事というのは、誰にでも分かる言葉で分かりやすく説明することほど、難しいことはないのだ。
 その上、自分たちでどんな新聞を発行することができるか、その方法はどうか、なども含め、新聞の歴史や、記事の書き方、さらに専門用語など、ふんだんに紹介されている。いやはや、これは大人にとってもなかなか刺激的である。
 少なくとも私は、大いに学んだものである。自分の「日記」で毎日綴っておきながら、「エトキ」(写真につける説明文のこと)なんて用語、知りませんでした。




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