本

『ねこほん』

ホンとの本

『ねこほん』
卵山玉子マンガ・今泉忠明監修
西東社
\1100+
2019.5.

 表紙からして、愛嬌のある猫のイラストが微笑ましいが、フクとムギという二人の猫が、本書のキャラクターである。主人公は、アラサーのサクラ。子どものころに猫を飼ったことがある。フクはミケで2歳の女の子、ムギは1歳の男の子。サクラの夫はダイスケで、猫を飼うのは初めてだという。その他実家の飼い猫やその近くに住む野良猫なども登場する。「うちの猫がまた変なことしてる。」の作者だから、面白くないわけがない。
 見開き2頁の場合、右側にその情況を説明するコママンガ、左側に文章で解説がなされている。また、最後のところには「ねこのほんね」として猫型の枠で囲まれた「まとめ」が大きく示されている。時に1頁でひとつのテーマが仕上がっていることもある。その場合には4コママンガと共に、簡潔な説明が施されている。
 項目にはナンバーが振られていて、01から100までがカウントされる。一番右に置かれているのが「Q」であり、一番左の「ねこのほんね」が「A」になっている。  猫について、飼っていると、あるいは触れあっていると、当然疑問に思うようなことが挙げられていて、項目的にも興味深い。
 「01どうして猫は箱やカゴに入りたがるの?」の問いに始まるが、その答えは「野性時代に木のウロや岩穴なんかで寝ていたから。箱に入っているとストレスも減るんだ!」となっている。
 そこから、聴覚の敏感さや毛づくろいの訳、排泄の仕方や猫草を食べる訳、自分のことを人間と思っているのではないか、という問いなどが並ぶ。水の入ったペットボトルは猫避けになるか、という問いには、はっきりとノーと答えられていた。ちゅ〜るが好きなのは何故かも書いてあって、いまさらながら、そういうことか、と納得するのだった。
 ふみふみについてはよく知られているが、子猫きょうだいにある順序の厳しさや、首をかしげるのにも理由があることなど、本当に、一つひとつ思い当たることばかりである。その理由が、簡潔に、またカラーで見やすく書かれてあるため、読むのに全くストレスがかからない。絵も、見とれすぎず、また茶々を入れるようなところもなく、爽やかに見ることができるものだと感心する。
 仲間同士おしりを嗅ぎたがるのにも理由があり、互いに猫の上にのっかって寝ているのも、分かる。但し、私が触れあっている地域猫では、そこまではいかない。あくまでも本書で扱われているのは、飼い猫の生活にまつわる行動が中心である。
 猫の集会についてのイラストの、不気味さと飄々とした様子などは、思わず笑ってしまったが、トイレや爪研ぎが家の中を乱すことは、実際に飼うと深刻なのだろう。
 幾つもの質問に関わってくるが、猫にとっては「におい」というものの比重が非常に大きいようだ。自分のにおいをつけるために、衣類や布製品の上に載るとか、ひとにすり寄ってくるとか、一つひとつの行動の背景に、それがあるような説明が多々ある。
 猫の利き手の話も面白かった。雌雄差があるのだというが、確かに思い当たるところがある。去勢されていても、オスは左の手がよく出るのだ。カギしっぽについては、ちゃんと長崎の猫のことが書いてあったのはうれしかった。「尾曲がり猫」という名前が出ていなかったのは残念だが、些細なことだ。
 なお、猫の毛の柄によって性格が決まる、というのはよく聞くが、果たしてどこまでそう言えるのかどうか、私はいまだ懐疑的である。本書でも、ミケから茶トラ、黒猫や白猫などいくつか書かれているが、顔のでかいのがボス猫だということの説明には、なるほどと肯いてしまった。また、オス猫の方がやたら声が高いことも気になっていたが、それはもしかすると地域猫だからだったのかもしれない。去勢が関係しているかもしれない、と答えられたいたからだ。
 とても売れているらしい。発売後2か月で第3刷と記されているが、表紙に「15万部」と感謝のシールが貼ってあった。寡聞にして本書のことは当時知らなかったが、これも十分肯けることだと思った。いい本だ。




Takapan
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