本

『ねじ子のヒミツ手技 1st Lesson』

ホンとの本

『ねじ子のヒミツ手技 1st Lesson』
森皆ねじ子
SMS
\2310
2009.6.

 妻が、病院に就職することとなった。元々ナースである。しかし、子育てのこともあり、保健指導のような仕事をここしばらく続けていた。いろいろ時があり、ナースに復帰したいというのだ。大病院ではない。いくらかの融通は利くし、昔のような複雑な危機を操り、深夜勤務に明け暮れ走り回るような労働環境ではない。だが、それにしても、現場は現場である。次々と訪れる外来患者に対して、躊躇し混乱している暇はない。適切な処置を瞬時に行っていかなければならない。しかし、そのような技を忘れている。少なくとも使っていない。また、十年一昔と言うが、医療現場での常識も大きく変わっているところがあるはずだ。医療ニュースにはそれなりに関心を寄せていても、現場に還るというのは、当然知らない経験にぶつかっていくことになるだろう。
 その不安を知識で解消するには、まずは本が必要であるとして、書店に出向いた。以前よりもはるかに出版物の種類が多い。かつてのナース雑誌は限られていたが、今は実に沢山の種類が出回っている。キティちゃんシリーズのハンドブックが並んでいるのを見ると、笑いたくもなる。どの本が、復帰ナースのために役立つだろうか。ジュンク堂書店の居並ぶ本の中で圧倒されそうになっていたときのことだった。私がふと、一冊の本を見つけた。一見、ふざけているようなマンガと手書きに終始した本。美しい、あるいは生々しい写真がキラキラと並んでいる本とは違う。徹底的に白黒。可愛い手書きの文字で、時に太く大きく時に小さくごちゃごちゃとメモのように書いてある。イラストも、うまいのはうまいのだろうがリアル感のない4コママンガ調の絵ばかり。──だが、ナースが何をどうするのか、どうすればうまくできるのかというコツ、これはばっちり分かるのだ。これは、ナースには間違いなくよく分かるアドバイスであろう。私はナースの経験はないが、妻の話や学習などに付き合って、いくらかの実感があるので、このいい加減な(失礼!)本の実用性については、直感できた。そこで、この本はどうだいと、本を探している妻のところに持っていった。すると、彼女の手にも、その同じ本が握られていた。二箇所に置かれていたのだ。それほどに、売れているらしい。帯にも「絶賛の声」とあるが、確かにそうだろうと思う。本職の目から見て、実によく分かるように、仕事のポイントが示してあるというのである。日本のナースが125万人とも言われる中で、この帯の時点で5万部を突破したというのは、快挙である。
 記事内容は、『ナース専科プラス』に連載されていた。それがまとめられているが、単行本としてあるべき内容である。これ一冊あれば、何をどうするか、ナースには福音となることだろう。だからこそ、売れているのも肯ける。「次巻予告」として、2nd Lessonの出版が決定している。早く出ないかなぁ。




Takapan
ホンとの本にもどります たかぱんワイドのトップページにもどります