『謎解き力養成大全』
原島広至
KADOKAWA
\1800+
2023.6.
クイズと言えばクイズである。だが近年「謎解き」という言葉がしばしば飛び交う。クイズと謎解きとの違いについて、本書はまず説明する。クイズは、一定のカテゴリーが紹介され、その中で知識を問うものであるが、謎解きは、それが何にカテゴライズされているのかを自分で探さなければならず、いわば解き方を自分で探す営みであるのだという。
何々について知っているか、ではなく、一体これは何を表しているのか当てよ、というのである。謎解きに触れたことのない方のために、敢えて本書にもあるような幾つかの(簡単な)例を挙げると、たとえば「OTTFFSS□NT」の□には何が入るか、というものである。なんとなく並びを見ると「N」だろうか、と思う人がいるかもしれないが、それでは理由が分からない。正解は「E」である。英語で数字を1から並べたときの頭文字なのである。
これは英語とはいえ、常識の範囲内にあるものと言えよう。だが、「∞=◯BC◯@ !=A@◯◯◯ のとき、次の□には何が入るか @@ABC=□□□□□」となると、少しばかり専門的な用語が必要となる。もちろん、高校の数学を受けたことがあれば、知っている語ではあるのだが、日常は使わない言葉が混じってくる空である。だから、一般の知識クイズに対応できるくらいの知識や教養がなければならない場面も起こってくる。その意味で、本書は、謎解きのために心得ておきたいような、幅広い知識をまとめた本にもなっている。具体的な謎解き問題もたくさん並べられているが、漢字についてもちろん、ギリシア文字についても知っておくべきこと、星座や県庁所在地、国名や日本の将軍家の代々の名前など、仕掛けられた謎を見破るための多岐にわたる知識が、この本にまとめられている。統一された理論を提供するわけではないが、クイズ的にも知識の宝庫である。「、」が付くことにより別の漢字になる漢字の一覧などは、他ではまず役に立たず、まとめられもしないであろうようなことが堂々と頁を占めているのであるから、知識とはいえ、特殊な集められ方をしているのだと言えよう。
そんなことが何の役に立つのか、などと問うことはご遠慮戴きたい。発想を試すためのひとときであり、出題者の狙いを読み破ることができるかどうかの勝負の場でもある。見事解いたらスカッとするであろうし、解けなければ、問題を作成した甲斐があるというものだ。かといって、あまりにもこじつけをしていたり、解答者が到底知り得ないようなものを要求するものだったりすると、興ざめとなる。分かるはずがないからである。答えとその解説を聞いて、なるほど確かにそうだ、と唸るのであれば、良問だと言えよう。
その意味では、「10=(河童の絵) 22=(貝の絵) のとき、□に入る数字は何か □=(パイの絵)」は、一般的に出題するわけにはゆかないだろう。新約聖書を原語で読む勉強をした方ならば、簡単に思いつくものかもしれないけれども、これを解説されて「なるほど」と笑えるという場面は、あまりなさそうな気がする。
だから、謎解きそのものはともかくとして、「へぇ」とでも思いながら、並べられた一口知識の一覧を楽しめばよいのではないか、とも思う。十二支の漢字が入った熟語一覧でも、明るい恒星ランキングでも、骨の名前でも、山手線の駅名でも、スポーツ競技の試合時間でも、もう無秩序に挙げられた項目を、ただ楽しめばよいだろう。トランプの絵札が表す人物は、時折クイズにも登場するが、これを見て、改めて聖書の人物をチェックし、私も記憶しておくことにした。スペードのキングがダビデ王、ハートのクイーンがユディト、ダイヤのクイーンがラケルであるという。諸説あるようだが、ひとつ心得ておくと、なんだか楽しみが増えるような気がする。

た
か
ぱ
ん
ワ
イ
ド