本

『もっと知ろう! 点字』

ホンとの本

『もっと知ろう! 点字』
日本点字図書館監修
ポプラ社
\2200+
2017.4.

 どんなに詳しく書いてある一般の点字についての解説よりも、子どものために紹介されたこういう図書のほうが、短時間で驚くほど詳しい知識が身につく。これは図書館に通い続けている私の経験則である。とにかく大人ならばあっという間に読める。それでいて、読んだあと頭に残っている新しい知識ときたら、半端じゃない。図や写真がふんだんにあるし、一目で理解できるし、それに、実はこうした本は常々改訂されていて、この場合も新刊が来たのですぐに借りたのだが、最新の情報が満載なのである。
 そもそも点字とは何か。そのしくみ、表し方のルールが原則のように示されるが、私もよく気づいていなかったような点があった。簡単な点字のきまりも紹介されると、ちょっとした文は打てるようになるだろう。
 こうして、点字の歴史を辿る。凸文字からその歴史を辿る本はそんなに多くないかもしれない。目の見えない人を晴眼者がどう扱ってきたのか、寄り添うように綴られていく。そして、現代の生活の中でどこに点字があるか、改めて意識させるように紹介していくといった流れである。
 よく考えられている。もちろん、イラストや写真で視覚的に教えてくれるし、子ども向けの本であるということは、ふりがなもだいぶ打ってある。間違った読み方の理解を防ぐ意味で、大人にとってもこのふりがなというのは有用であると私は思う。
 先にも触れたが、最新の機器の紹介があるということで、大人も知らない、あるいは気づいていないようなことも多々あることだろう。視力障害を負う方は、病気の進行などを考えるとたくさんいることが、案外見過ごされている。本書には、全盲というだけでなく、視力や視野に問題のある方のために、たとえば電子書籍だと字が大きく、画面を明るく示すこともできるのだという紹介もなされている。こういうことも知られていない可能性が確かにあるだろう。
 子どもが扱っても壊れないように、想定が頑丈に作られている。そのため、見た目よりも価格は高い。だが、だからこそ、図書館には置けるし、置くべき本だとも言える。それを利用できるとあれば、ちょっと手を伸ばして、借りる本の一冊に加えてみては如何だろうか。子どもの書籍の棚を、大人も訪ねてみるべきだ。繰り返すが、大人ならば短い時間で読み終えることができるし、内容が悉く頭に入るであろうと思われるからである。いや、頭というよりも、心に入る、と言うべきかもしれない。




Takapan
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