本

『問題解決の実学』

ホンとの本

『問題解決の実学』
斎藤顕一
ダイヤモンド社
\2100
2006.8

 ビジネス書は苦手である。書かれた目的というものがはっきりしているので、思想をどうとかいうべきものではない。また、それが適応できるできないはケースバイケースであって、参考になる人はなるし、ならない人はならない。
 どだい、ビジネス書は、成功した人だけが著すものである。失敗例が延々と書かれている本を、誰が買うだろう――ただし、そうした本が実はたいへん利用価値が高いということを私は認めるが、世の中の多くの人がそうであるとは思えない。
 さて、この本がその意味で、安直な本であるとは思えず、中身の濃いものであることは、ビジネスに素人の私でも分かる。大前研一氏の弟子のような人であり、たいそう頭の切れる著者である。
 そもそも企業が前進できないのは何故だろう。どんな問題点があるのか。序章において、その問題点を、実に抽象的ながら、明らかにしていく。これは参考になる。抽象的である分だけ、どこの現場でも、思い当たるふしがあるからだ。
 とはいえ、この抽象思考が、はたしてどのような形で実際のビジネスに活かされていくのか、私には想像がつかない。企業というものは、人の心のどろどろしたようなものとは無縁で、それこそビジネスライクに法則に従っていくものなのだろうか。職場の人間関係といった要素を抜きにして、目的達成ということが、可能なのだろうか。そもそも、企業の目的とは、何なのだろうか。
 著者は、国際基督教大学卒業であるが、クリスチャンかどうかは分からない。たぶん、ビジネスマンが読んだら、実にありがたく役に立つ本なのだろうと思う。




Takapan
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