本

『おしゃれな文字アート』

ホンとの本

『おしゃれな文字アート』
さとだてゆめこ
日貿出版社
\2940
2008.4

 もっと「手書き」を楽しもう!
 表紙に、そう書いてあるが、これらは残念ながら手書きではない。
 そもそも、日本の書なるものは、絵画的であるとも言われる。象形文字など、まさに絵と紙一重である。絵から作られた文字なのだから。
 そんな堅苦しい理論はさておき、もう文字を書くことを楽しもうということに徹している本で、何よりも著者自身が楽しみまくっているところがよく伝わってくる。
 権威も理論もいらない。ただ、問題はその実践のためにどうするか、である。
 どんな道具があればいいのか。道具により、どんな味が出せるのか。それも、どこそこの画材店でウン千円で売っている、などというのではなくて、身近なものも試してみているから親切だ。割りばし、ダンボール、それに拾ってきた小枝で書くことなど紹介されている。もちろん、そのタッチもどんなふうになるのか示されている。
 紙にしてもいろいろなもので試してある。
 布に書くときにも、どのくらいの濃さの絵の具であればよいのか、実験の様子と共に紹介されているので、自分の出したい味に近いものを目指して工夫すればよいことが分かる。
 額装やパネルの作り方にまで及んでいるので、現実に飾りを関係するのに必要な準備はこの本で全部なされていると言ってもいい。もちろん、筆の基本的なタッチなど、書き方についてのアドバイスも豊富である。私から見れば、至れり尽くせりなのだ。
 個人的には、トンパ文字がいろいろ紹介されているのが楽しい。中国の奥地でナシ族の人々が今も使っている文字で、それ自身殆ど絵である。トンパ教という宗教に関するものだが、人の心をよく映し出しているという点で、私は好きなのだ。
 たしかに、これを描くと楽しいだろう。
 そういうわけで、なんだかアートがしたくなった気分である。




Takapan
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