本

『身近な野菜のなるほど観察記』

ホンとの本

『身近な野菜のなるほど観察記』
稲垣栄洋
三上修・絵
草思社
\1680
2005.8

 この人の文章には、絶対に適わない、と思った。
 事実についての正確な叙述、それも、素人にも極めて分かりやすい説明。そこから人生を考えさせることへ、自然につなげる文脈。決して説教臭くもなく、嫌味もなく、さらりと、それでいて深い眼差しを私たちに向けさせる。
 一つ一つの項目が、厭きない長さであると共に、なるほど、と膝を打ち続けるような刺激がどの頁にも備わっている。
 こんなにどの頁にもわくわくする本というものが、かつてあっただろうか、と思うほどである。
 文学は、それまで何事もなく見ていた物や景色に、違った意味を与え、以後それが別の意味を帯びて見えてくるような効果をもつことがある、と聞いたことがある。だとすれば、この野菜についての記述は、まさにそれである。もう、野菜を見る目が変わった。
 具体的に、ここであれはああだ、これはこうだ、と紹介したいのはやまやまだが、それは直にこの本に触れてその魅力を感じて戴きたい。下手に解説などをして、魅力を減じてはならないと思う。
 傾向として言うならば、野菜を擬人化してあるので、そこに人生を見るような思いで、私たちは読んでいくことができる。そして、自然の仕組みについても、改めて驚かさせるのである。野菜って、こうだったんだ、とときめくことも、きっと多いであろう。
 私は、この本に先立って著された雑草編を、すぐに買いに走ったものだ。




Takapan
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