『メディアとのつきあい方学習』
堀田龍也
ジャストシステム
\1890
2004.6
気をつけなければならないのは、この本が、メディアの問題を共に考えよう、というスタンスではないということだ。メディアがあるのは当然、これからはメディア中心の世の中であるゆえに、それをどう利用していくか、という視点でしかないということである。
ジャストシステム、つまり私も使う「一太郎」「ATOK」を開発したメーカーが出版している本である。コンピュータ社会に問題あり、という論じ方をすることはできないのである。
サブタイトルには、「情報」と共に生きる子どもたちのために、と記してある。この本は、これからネット情報の中へ漕ぎ出して行く子どもたちの水先案内人になろうとしているものである。
現に総合学習の中で、そのような取り組みをしている小学校は多い。幾つかのよい例を挙げて、教育の中での取り組みの具体的な姿を本の中で見る。なるほど、こうして子どもたちにメディアの問題点も掴ませてゆくのだ、という気持ちになってくる。それは、親として、我が子にどうメディアに触れさせるかを思案するときにも大いに役立つ。
無造作にたんなるオモチャとして情報機器を子どもに与えて、なんとかなるだろうと構えている親も、多い。いや、実に多い。ケータイを子どもに持たせることがステイタスであるかの如くに考えて、ねだった子どもに与える――いや、小学生の場合、子どもがねだらずして、親の方が勝手に与えてさえいるケースが目立つ。
だが、子どもは何も判っちゃいない。
パソコンソフトのメーカーの出版である。パソコン利用が前提となった記述である。その上で、何を子どもたちに知っておいてもらわなければならないか、を強調したものとして、一読するとそのポイントが分かる。
むしろ、何度も繰り返して説明されていくので、くどい印象すら与える。となると、この本のもつ情報量そのものは、さして多くはない、ということになる。
発行されたのが6月18日。衝撃的な、佐世保の小六女子児童による殺人事件が起こったことを受けて書いた本ではない。が、かの事件では、この子どもの世界での、情報リテラシーが話題になった。子どもに、ネットとのつきあい方をどう教えていくかに戸惑うおとなの姿がそこにあった。
その問題に関しては、この本は偶然にも、実に優れた道標となるものであると思う。
もっと早く世に出て、かの事件が起こらずに済めば、もっとよかったかもしれない。