本

『日本のロゴU』

ホンとの本

『日本のロゴU』
成美堂出版編集部
成美堂出版
\1365
2008.6

 好評のT(とは記さずただの『日本のロゴ』)に続く第2弾。日本の企業や団体その他のロゴマークを紹介したもの。その由来や意味を完結に語るとともに、一部のロゴには、歴史的変遷をたどり、読者に「あったなぁ」と納得してもらおうという考えであるようにも見える。
 ともかく、淡々と続けられるのは、そのロゴの由来、ときに会社名の秘密であり、それを読み物として見ているだけでも十分楽しい。いや、やはりカラーで通して示されるそのロゴの一部始終が、愉快でたまらない。
 終わりの方に、スポーツチームのロゴとその背景があるのも、ファンには見逃せない。メジャーリーグのチーム名がこんな訳でついていたのか、と初めて知ることも多い。もちろん、全部ご存じのファンも大勢いらっしゃるとは思うが。
 学校のロゴには、その学校の創立の精神や設立者の願いや祈りがこめられていることも分かる。同志社女子大学には、「まことのぶどうの木」が最近制定されたエンブレムの中央に示されている。東京女子大学には、初代学長新渡戸稲造の語った「犠牲と奉仕」の頭文字であるSが二つ組み合わされている。シンプルな中にも重いテーマが潜んでいた。立教大学には聖書と十字架が中心にあり、「神と国のために」と文字が刻まれている。
 巻末には、日本のデザインの先頭を走り続けたベテランの永井一正氏と、若手クリエイターとして注目の佐野研二郎氏の作品集と、デザインについてのインタビューが掲載されている。これも見応えがある。
 そして冒頭にだが、デザインの変遷があり、これがなかなか興味深い。ビスコやチョコモナカから、サントリーオールド、チキンラーメンや週刊少年マガジンのロゴ、サトちゃんなどの歴史的変遷が辿られると、その時代を生きてきた者としてはうなってしまうものがある。いや、私の知らない時代のものも多い。
 ただ、やっぱり一番ウリとしてよいのか、と個人的に思うのは、「スーパー戦隊番組タイトル」ではないか。2008年現在放映中のゴーオンジャーまで、すべてのタイトルロゴにこめられた意味を、わずか20字ずつで紹介していくのだから、なかなかのものだ。「そうかぁ、そうだったのかぁ」と思わず膝を叩いてしまうものも、きっとあるだろう。私はあった。




Takapan
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