本

『光は闇のなかに』

ホンとの本

『光は闇のなかに』
小島誠志文・森本二太郎写真
教文館
\1200+
2022.3.

 入院中の方に贈る本を探していた。本当は、お花の写真集がよいと思っていたのだが、どうにも見当たらない。そこへ、キリスト教関係の棚で見出したのが本書である。
 小さくて薄く、送るのにもちょうどよい。
 否、そこではない。美しい写真が左の頁にある。すべてが花というわけではないが、野生の花の写真も幾つかある。緑があり、水かある。人間は登場しない。自然が対象であり、思わず「美しい」と口から言葉が零れる彩りの写真である。
 右には聖書の一句と、それに関係するごく短い言葉が添えてある。写真も言葉も、どちらもが美しい。
 一つだけ、引用させて戴く。
 
 涙   ヨハネの黙示録七章一七節
  神が彼らの目から涙をことごとく
    ぬぐわれる……。
 
 だれも、わけがわかって生きているわけではありません。なぜそうなのか、と聞かれても応えることのできない矛盾や不条理を抱えて、葉を食いしばっているのです。この現実のなかで精算できない苦しみを担って。
 すべての涙を受け止めてくださる方がいるから生きているのです。その懐に抱かれて存分に泣くことができる、その時があるから。」
 
 なんと慰めに満ちていることだろう。ひとを癒やす言葉が、これに限らず並んでいる。教義からいくと、人は自分の罪を知らねばならないし、それを救うイエスという道を通らなければならないはずである。しかし本書は、そのような「説教」めいたメッセージは微塵もない。ただ慰める。ただ寄り添ってくれる。神が助けてくださる、その真実を伝えるために、余白のホワイトさえ輝いているように感じられる。
 そう、写真を載せるためのきれいな紙だ。厚みもある。正方形に近い掌ほどの大きさなのもとてもよい。病人が、ベッドで見るためには、分厚くて重い本はだめなのである。はらりと開いてみると、どの頁からも慰めの言葉と目に優しい写真が飛び込んでくる。
 聖書について知識がなくても、聖書はなんとよい言葉か並んでいるのだろう、と思うかもしれない。もちろん、聖書を知る信徒が見ても、改めて聖書の良さを知ることになるのではないだろうか。
 実は、帯の文字を見ることなく、私はこの本が気に入って、レジに運んでいった。そして後から、帯を見て、涙が出そうになった。
 「災難も病気も、
 神がそこから御業を行ってくださる始まりなのです。
 混沌から神は光を創造されます」。
 癒やす言葉が並んでいるはずだ。美しいとしか言い様のない写真が鏤められているはずだ。その写真は、どこで撮影したのかを、巻末の「目次」に記録してある。スウェーデンの写真が2枚あった。だが、特別に外国という感じはしなかった。どの風景も、花も、生命観を伝えてくれるし、風さえも吹いてきそうである。
 全部で30の項目。そうだ、「あとがき」などのための4頁を数えると、これで64頁となる。製本上の、優れた構成である。
 元々、この二人は『夜も昼のように』という、本書のような本を生み出している。2006年発行だから、久しぶりのタッグであろう。七版を重ねていたというから、本書もまた読み続けられたらよいと願う。信徒云々に関係なく、多くの人の心に「慰めと希望」を与えることだろう。「あとがき」の中の写真家の言葉が、本書の魅力を簡潔に語っていると思うので、最後にそれも引用させて戴くことにしよう。
 「詩のように凝縮・洗練された言葉を通して、人の内面深く語りかける聖書の真実が、端的に伝わってくるのです。慰めと希望に満ちたメッセージです。」




Takapan
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