本

『薬は体に何をするか』

ホンとの本

『薬は体に何をするか』
矢沢サイエンスオフィス編著
技術評論社
\1659
2006.9

 すでに何冊か興味深い本を紹介させて戴いている、「知りたいサイエンス」シリーズの一冊。読みやすく、かなりマニアックな内容が多いことでも人気がある……のではないか。
 薬に関するこの本も、素人にも十分分かりやすい示し方であると共に、生半可な解説本では扱われない、高度な知識や問題点、いやはや、そもそもその薬の由来や歴史など、蘊蓄めいたものも事丁寧に説明されていく。
 もちろんそのためには、その病気のメカニズムを、最先端の医療知識の領域から解説してくれるわけで、これは医療の科学的側面に対する、恰好の入門書としても利用できるのではないかと思われる。
 取り上げられている薬は、抗うつ剤・アルツハイマー病治療薬・ステロイド剤・頭痛薬・抗生物質・糖尿病治療薬・抗がん剤・てんかん治療薬・インフルエンザ治療薬・アレルギー治療薬(抗ヒスタミン剤)・エイズ治療薬・パーキンソン病治療薬・ピル・モルヒネ、と続く。そのどれもに、同様の詳しい説明がなされていて、読後の充実感がある。
 若干、その病状の具体的な姿が十分伝わってこない、と感じることもあるが、この本の目的からすれば、それを正面に据えることはできない。だから、たぶんこれでよいのであろう。
 ありきたりの薬の一覧表などの説明に満足しない方は、一度目を通されるとよいだろう。薬がわくわくと理解できていくのである。




Takapan
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