本

『元気のお手伝い! くすりのおはなしの巻』

ホンとの本

『元気のお手伝い! くすりのおはなしの巻』
日本医師会・日本学校保健会監修
日本小児科医会推薦
大塚ホールディングス
2025.2.

 「OTSUKA まんがヘルシー文庫12」である。私はこれに出会うまで、このシリーズについて無知だった。そして大塚製薬は、こんなよいことをしているのだ、と驚いた。毎年このように薬や医学にまつわる知識を、小学生に伝わるように本という形にし、小中学校や図書館、それから外国で暮らす日本人の子どもたちのために、配付していたのだ。
 全編カラーで、多くはマンガである。それも、子どもたちに馴染みのあるような、そうメジャーでないような漫画家を採用し、それぞれの個性に合わせてストーリーを考え、医学の知識が身につくように工夫されている。
 よくできていると思う。マンガとマンガの間には、改めて大切な点の解説やクイズもあり、本当に知識として理解し覚えられるように、上手につくられている。
 今回教えてくれることは、薬が病気を治すというよりも、本来体自身が治ろうと努めるのだが、薬はそれを助けるのだ、ということだった。それから、薬は医師の指示通りに呑まなければならないこと。多すぎてもいけない、ということを教えるのだった。しかしさすがに小学生相手だから、薬は一種の毒である、というような誤解させるような記述は全くなかった。よく配慮されていると思う。
 薬にはどんな種類があるのか、そしてそもそも薬はどのようにして患部に届くのか、についても学ぶことができる。ポイントはもちろん血管である。薬の呑み方、保管の仕方など、案外説明が行き届いていないことについても、子どもにもよく伝わるような楽しいまんがで説明されていた。特に、呑み忘れたときにはどうするのがよいか、これは案外大人でも迷うところだ。結論は、次の薬を呑むのが遠くないならば、一回飛ばしておこう、というものだった。血中濃度が大きく上昇することは、やはり避けねばならないらしい。
 薬はどのようにしてつくられるのか。臨床試験についても専門的な叙述でなく、子どもに理解できる程度の形で教えてくれた。特に、先進国でないとなかなか新薬の開発ができない事情は、改めて薬というものの大変さを覚えた。製造や出荷の過程もだし、薬開発の歴史上の偉人の紹介や、薬剤に関わる職業のいろいろにも触れられていた。
 このまんがシリーズは、1989年からシリーズが幾度も改められて発行され続けている。身近なところでは図書館にしかなかったために、私が気づいていなかったのだろうか。図書館の新館はたいてい目を通すが、もしかすると子どものコーナーだから気づかなかった野か、それともこの図書館自体が、今回初めて購入したのか、真実は分からない。だが、知ってしまったからには、これから気にしてみようかと思う。心のこもった、良い本だと思う。監修もすべてしっかりしているから、信用できる。そもそも信用できるものしか、小中学校に置くことはできまい。
 まんがは少し幼い感じのものが多いが、だからこそ小学校低学年の子どもたちにも十分なじめるというものだ。価格も表示されておらず、書店ではお目にかかれないと思うが、関心をもたれた方は、これから図書館で気にして戴けたら幸いである。




Takapan
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