本

『くらべてみよう!日本と世界のくらしと遊び』

ホンとの本

『くらべてみよう!日本と世界のくらしと遊び』
石毛直道監修
小長谷有紀編著
講談社
\1680
2004.11

 小中学生の調べ学習に役立つ本。たぶんターゲットは小学校上級生だろうと思うが、中学生でも使えるだろう。ふりがなが多く、安心して読める。
 世界各地の子どもたちの生活が、写真と生活レポートを交え、生き生きと伝えられてくる。これは案外、画期的なことではないかと思う。
 たとえばとある国の子どもたちの話を聞く。それは多分に珍し物中心である。へぇとかはぁとかで終わるだろう。だが、生活はそんな断片的なものからできているのではない。その子がどんな朝を迎え、どこで誰と食事をし、学校で何をどのように学び、学校がいつ終わり、その後どうすることが多いか、そしてどんな手伝いをし、どんな希望をもっているのか。その一つ一つの背景を想定することなしには、実のところ何の理解も進んでいないと見るべきかもしれない。
 そして、こうした子どもの日常生活が、どんな本にもあまり紹介されていないのだ。
 韓国・モンゴル・中国・インドとアジアのレポートが多いのもうれしい。ロシア・ブラジル・オーストラリアと広くて有名でも案外その生活を知らないといえる国の子どもたちのことも分かる。最後にようやくイタリアとフランスが入り、知った国が登場したような気になるが、それが大間違い。実のところ子どもたちの一日など、私は何も知らなかった。
 子どもの視線に立つという言葉がある。世界を視野に入れると、私はそれが何もできていないということを思い知らされる。
 国別の後に、学校生活、遊びといったテーマで国の比較が行われる。写真やイラストが多く、見やすいし誤解もしにくい。
 よく私が言うのだが、こんないい本を、子どもだけに独占させておくのはもったいない。大人も図書館の子どもの本の棚に干渉すべきだと強く思う。




Takapan
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