『くまモンの ボクのきもち』
くまモン/辰巳出版/\1500+/2025.3.
2025年3月12日の発行となっている。この日付には意味がある。2011年3月12日、九州新幹線が全線開業した。くまモンは、その時のために生まれたキャラクターであった。公式には、この日を以て誕生日としている。
もちろん、その前日に起こった、東日本大震災という出来事が、くまモンの誕生に大きく影響した。開業のための準備をしていたくまモンが、そのお祭りを開催できなくなったのだ。
くまモンは、「熊本県営業部長」という肩書きをもつが、職務としては、「サプライズとハッピーを伝えること」である。とても、その時にその仕事ができなくなったのだ。
このように、正面から紹介しようとすると、なかなか難しい。くまモンはくまモンであり、全国的に知名度が高い。NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で追跡されたこともある。私はそれをビデオに録って見た。
一度、直接出会ったことがある。博多駅に行ったとき、ちょうど熊本のイベントがあったのだ。名刺をもらった。
そもそも、このキャラクターは、熊本のアピールのために考え出されたものだった。「熊本サプライズ」という企画で、熊本を目立たせようとしたのだ。熊本は、福岡をライバル視している。直接追いつけないのは分かっているが、少なくとも九州で2番手に名乗り出たい。しかし、九州新幹線は福岡と鹿児島を結ぶ。熊本は中継点でしかなくなる。このことに危機感を懐き、熊本に来てほしい、熊本を知ってほしい、という角度から生まれたキャラクターだったのである。
だが、それはただのゆるキャラではなかった。公務員なのである。そして、公務員としての「仕事」をこなしている。性格付けや特徴付けが重なり、キャラが立ってくると、知名度も上がった。東日本大震災のときには、一時活動を自粛する向きもあったが、やがて何かできると立ち上がり、助けるために動き出した。それが人にも認められ、その都市の全国ゆるキャラグランプリに輝いたのであった。営業部長に就任したのもこの年である。
キャラクターとしては絶大な人気を保ち、また事実上もう認知としては定着している。「くまモンサプライズ!」の歌も私は大好きだ。やはり最後の「あとぜき」で終わるところがなんとも言えない。「あとぜき」の意味については、熊本人でない私はそのニュアンスを正式には説明できないので、その道の人の説明を受けて戴きたい。
こうして人気も高まったくまモンであったが、その行く道にはいろいろ困難があった。2016年4月の熊本地震のときには、安否が心配されもした。2020年夏の豪雨災害は、人吉・球磨地域が大きな被害を受けた。これらの復興のために、くまモンは立ち上がり、各地へ向かった。
この4年おきの期間は、次の2024年にも当てはまった。元日の、能登半島地震である。くまモンは能登にも足を踏み入れた。
本書は、くまモンが語るというスタイルで、自分の活動を紹介している。前半は、その辿った中での大きな意味のある出来事について語る。後半は、どちらかというと、写真集のような構成である。前半には文章がたっぷり載っているが、すべてその話し口調の「〜モン」で書かれているので、正直読みにくい。しかし、それをなくしたら、くまモンの語りではなくなるわけで、それはそれでご愛敬として結構だと思う。
百頁余りの本だが、カラフルで軽快で、そしてくまモンについてのたぶん余すところなく紹介されていると思う。2022年から開催されたが、「くまモン検定」に役立つこと間違いなしである。但し、この検定は、2025年の1月を以てすべて終了している。
愛されキャラは羨ましい。しかし、それだけ忙しいのも事実だ。まだまだ活躍してほしい。福岡にいながら言うのもなんだが、熊本にこんな頼もしいヤツがいるというのは、本当に嬉しいのである。

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