本

『図解雑学Q&Aココロが見える心理学』

ホンとの本

『図解雑学Q&Aココロが見える心理学』
齊藤勇監修
ナツメ社
\1449
2005.12

 いかにも軽い感じがする本だが、面白い。心理学というものを、難解な用語で系統立てて示すのではなく、身近な実例から一問一答のようにして、よく「ある」ことを説明するという方法をとっている。たしかに通俗的だが、時折ハッとさせられる説き明かしに出会う。
 有名人を見たとか、ペットの話を人にするなどというのは、自己顕示の心理が隠れている、などという。このあたりは、だいたい常識的に捉えられているものだろう。
 自分は写真写りが悪いなどと思うのは、自分の事を本来以上によいイメージで捉えているためだと言われると、さもありなんと思う。
 夫婦仲が悪くなるほど視線を交わす時間が増加する、などと書かれると、なぜだ、というふうにも思うが、相手を監視するようになるのだと説明されたら、なるほど、とも思う。
 セールスの手法や、異性にモテるためのテクニックなど、知らなかったことがあれば、その日から役に立ちそうな話題もいっぱい。それに、この知識そのものを、話のタネにすることによって、尊敬を集めるというふうに使いたい心理も、起こりうることだろう。
 ただ、公式的に理解して、活用しようとしても、それでうまくいくわけではないこともお忘れなく。こんなことですべてがうまくいくならば、こんなに簡単なこともないのだ。
 血液型占いが意味のないこともはっきり述べてあるし、それはもっと強調されてしかるべきだろうとも思う。占い師を相談係のように捉えているのも、ある意味で正統的なのだが、最後の、電車内で携帯使用に腹を立てるのはなぜ、という説明を見ると、あまりにも一面的で、怒る人の心が見えていないな、と淋しくなった。
 随所で、簡略化しすぎ、人の心を人工知能プログラムか何かと勘違いしているように見える部分が少なくなかった。こういうプログラムで、異性の心を得ようとでも考えたとしたら、それこそ、とんでもないしっぺ返しを浴びますぞ。それくらいなら、心は金で買える、と豪語したほうが、まだ誠実であるのかもしれない。




Takapan
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