本

『子どものスポーツ医学入門』

ホンとの本

『子どものスポーツ医学入門』
NPOライフサポート協会著
大島義彦監修
山海堂
\1,600
2003.7

 良い本だ。稀に見る良書と言ってよいだろう。子どもにとってスポーツとはどうあるべきかを、理論的に、実際的に教えてくれる。軽快なイラストもバランスよく載せられている。読みやすく、そして説得力がある。どだい、データに裏打ちされた実例は、十分人を納得させるだけの力をもっているはずだ。それにもまして、この本の教える知識は重要である。
 何も、スポーツに限る必要はない。生活の上での注意としても十分読み応えのある内容となっている。
 まずは食事。スポーツ飲料も気になるが、この本は根底から、栄養の正しいとりかたと、無理のないトレーニングの方法とをベースにして、説明を施してある。ダイエットの善し悪しや、持久力を高める食品の理論的な説明など、興味は尽きない。
 次に、ケガの問題で語られる。この本は全体がすべてQ&A形式で書かれてあり、スポーツ障害を始め、温湿布と冷湿布の説明など、知らなければならないことが多い。
   発育や発達に関する記述も多く、反射神経の鍛え方や、集中力のつけ方が紹介される。すでに、野球選手などはそういう方法を実践していて、グラウンドの中だけが試合ではないことを知っているはず。
 質問は多岐に渡る。手を怪我したが、その間もトレーニングを続けるにはどうしたらよいか、など、ケースバイケースのことかもしれないが、大いに参考になる説明がある。扁平足の対策や、持久力をつけるための知恵など、子どものためとは限らずとも、大人だって知りたいこと、知らなければならないことが多い。
 ドーピングや栄養ドリンクにまでその知恵は続く。栄養のバランスのよい食事をとっている限り、栄養剤に頼る必要がないのは素人でも分かりそうだが、実際そうした細かなことを質問したくてたまらない人も少なくないはず。その人の身になって、本の説明は続いていく。
 もちろん、おとなが呼んでも参考になることは多い。なるほど、と思う説明が多い。それらを例示するときりがないので、ここでは淡泊に紹介することにしておく。いろいろためになることや、もう知っていたことを含めて、まったく退屈しないだけの情報量がここにはある。具体的で、しかも実行可能である。スポーツをするしないに関わらず、体を鍛えるというのが、ボディビルとは全然別のことなのだということを知るだけでも十分本を読んだ価値があるというものだ。
 健康であるためには、どこかトレーニングも必要なのだ、という気にさえなってくる。気合いの入る本であった。




Takapan
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