本

『読まずにわかる こあら式 英語のニュアンス図鑑』

ホンとの本

『読まずにわかる こあら式 英語のニュアンス図鑑』
こあらの学校
KADOKAWA
\1500+
2020.11.

 ネットで見かけてフォローしていた。可愛いコアラのキャラクターにより、英語の言葉の微妙なニュアンスを楽しく紹介していた。あるいは、私たちが誤解していそうなことを、一目で分かるように表していた。実に効果的だと思っていたら、間もなく本になった。そして、たちまち大反響で売れに売れている。
 小さな文字で説明が少し、あるにはある。だが、それを読まなくても、要点は得られる。殆どイラストと大きく示された単語とだけで伝えていると言ってよいだろう。たとえば、帯にある分で紹介すると、「shop / store の違い」が挙げられている。shop のほうでこあらは花束を手にしたのと、自転車修理をするのとがいる。「製造や加工も行っているお店」だとしている。store のほうは、こあらが書店員の格好をしているのと、デパートの前に立っているのとがいる。「商品を売るだけのお店」とだけ書かれている。単語の使い方も小さく見えて、いま挙げた店の英語表現が並んでいる。実にシンプルな構成であり、読むほうもズバッと頭にそれだけが入る。
 インターネットで見ているので、最初買うつもりはなかった。だが、数日して気が変わった。教えている中学生がまさにこの「shopとstoreとはどう違うんですか」と質問してきたのである。自信がなかったので辞書を開くと、上のような説明があった。そう、英語のできない私が塾で英語を教えているという不条理がここにあるわけだが、それについてはいまは弁明などしまい。ただ、中学生に英語を教えるときに、この本が教えてくれるような点をズバッと示すことが、どれほど効果的か知れないと分かった。
 つまり、本書は、英語の感覚を身につけたいと思う人はもちろんのこと、英語を子どもたちに教える仕事をしている者にとって、重宝する、ということだ。
 購入して読んでいくと、私は少し安心した。これまで生徒に説明してきたことが、基本的に間違っていなかったと分かったからである。英語ができないとは言っても、曲がりなりにもいくらか読んではきたし、高校生あたりにも家庭教師で教えるなどしてきた。哲学の概念を示す語は丁寧に辞書を調べ、その語源を含めて考察をしなければならなかった。また、近年意識してラジオ講座を聴くようにしてきた。話せないが、理屈についてはいくらかは突っ込んだところをやってきたつもりである。それでも、自信がないのは確かである。それで、本書で、胸をなで下ろすこともできた。やはり、小中学生に質問されるようなことが、ここには明確に示されているからである。
 よく聞かれるものについて少し挙げると、「speak / talk / say / tell の違い」、先日聞かれた「wear / put on の違い」、「study / learn の違い」、助動詞の細かなニュアンスと「must / have to の違い」、「can / be able to の違い」、「all / every / each の違い」などで、本当に授業で質問があったのである。私の考えていたよりももちろんもっと明晰に違いを教えてくれる項目もあって、勉強になった。教育の新制度がスタートして、大学入試もだが、高校入試も大きく変わってきている。ただの暗記というのではなく、その場での対応のようなものが、得点のためには必要になってきているのは当然のこと、いま挙げたようなニュアンスの違いを感じ取ることが要求されてくる場面も新たに生まれてきているのは確かである。前置詞の感覚については、このイラスト化というのが実にいい。イラスト化そのものについては、私の薦める「Eゲイト英和辞典」というのが、すでに実行しているが、いちいちその語をabc順から引いてこないと比べられない。電子辞書関係でもあるかもしれないが、やはり一つひとつ出してこないとどうしようもない。その点本書だと、見開き2頁に8個ずつ、何度かめくればすべて並んでいる。さらに、「by / until の違い」のように細かなものは続いて取り上げられている。この違いについても、先日授業で実際に質問があった。
 いやはや、即効性の塊のような本である。違いについて忘れても、いつでもすぐに開けるだろう。もちろん索引もある。だが、本当にズバッと鮮明に焼き付くので、一度見れば記憶の回路に入り込んでしまう。これは記憶学習のためにも、実に優れた方法を実現してくれていると思う。
 そういうわけで、ただの宣伝のようなことをしてしまった。




Takapan
ホンとの本にもどります たかぱんワイドのトップページにもどります