本

『賢者がみちびく占いのすべて』

ホンとの本

『賢者がみちびく占いのすべて』
ジュウェルス・ロッカ
駒田曜訳
創元社
\1200+
2023.6.

 占いの本である。私がまず手にしない本である。朝のテレビの占いコーナーや、週刊誌や新聞のなんとか占いなどには、見向きもしない。しかし世の中には、それを気にする人が多いという。それでもそんなの気にしないよね、などと笑い合うのだから、いったいどちらなのだ、と尋ねたくなるが、良いことは信じ、悪いことは信じない、などという人が多いともいう。何かに心を支えられたいのだろうか。
 書店でも、スピリチュアルだとか占いだとかいう棚は大きい。科学の時代に宗教だなんて、というような声は、絶対に虚偽である。
 さて、占いの本である。小さくて、薄い。だが、占いについて必要な基礎知識が、ここにどれほど詰まっているか、計り知れない。オーストラリア風水協会の元会長だという人が著者である。世界的に有名なのだそうだ。その有名さや意味については興味がないが、占いについての知識をこうして教えてくれるというのは、資料的にもありがたい。
 見開き2頁に、説明と図版が収められ、それでひとつの占いについての知識を与えてくれる。タロットについては、さすがに全図版を載せるとこれでは足りないために、4頁が当てられ、後半に図版とそのカードの意味が一覧表のように載せられている。サイコロ占いというのもあって、1個、2個、3個、それぞれ振ったときに、その和によって意味があるのだということが分かる。中国の易経は2頁に収められている。人相・手相・ほくろについては、三つで2頁である。
 十二星座と惑星についても2頁で終わってしまうから、いかに簡潔で広い知識が網羅されているか想像できよう。九星気学が日本の占星術だというのは、知らなかった。私は小さい頃、実は占いの本が好きだった。家にあったのは、たぶん「高島易断本暦」ではなかっただろうか。何事にも好奇心があったものだから、個人をどう振り分けるのか、面白がっていたかもしれないが、思想的な意味は何も分からなかったはずだ。だがそこで、九星気学について見ていたことはよく覚えている。今にしてみれば、同じ年に生まれた人が皆同じ運命だなどというのは、おかしいに違いないのだが、なんだかそういうものだということで開いて見るのが好きだった。
 花占いや夢占いなど、それなりに人に知られているものもあるが、非常にマニアックなものも当然ここにはある。巻末には用語解説も簡単ながら載っており、関心のある人には重宝するだろう。否、関心がある人は、すでにこうしたことはすべてご存じなのかもしれない。
 もちろん、亀甲占いのような、いま誰もしていなさそうな歴史上のものは、ここで扱っているわけではないし、ラテ占いといった、街角の商売に首を突っ込むような興味はないらしい。たった60頁ほどの本だが、表紙からして如何にものデザインだし、ファンにはたまらないかもしれない。サブタイトルに「未来を見通す秘密の力」とあるのも、ぞくぞくさせるものがあるかもしれない。
 だが、こうしたことに真摯に向き合って近づくような人は、そう多くないだろう。大抵は、気休めで占いに一喜一憂し、自分の運命や今日の一日とやらに、自分でないもののパワーを与えてもらおうとしているだけのことだろう。今や、「パワースポット」というものが、関心の的であるのかもしれないのだ。
 聖書は、ご存じの通り、神ならぬものを神として拝むことは禁じている。占いや口寄せ、霊媒を厳しく禁じているのだが、サウル王はこれを禁じていながら、自ら頼ったこともある。それだけ多くの占いがはびこっていたのだろう。いつの時代もどこででも、人間の心理のある傾向は、そう変わるものではないのかもしれない。




Takapan
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