本

『若者に伝えたい 韓国の歴史』

ホンとの本

『若者に伝えたい 韓国の歴史』
李元淳・鄭在貞・徐毅植
君島和彦・國分麻里・手塚崇訳
明石書店
\1890
2004.11

 韓流ブームと言われた2004年だが、歴史を顧みるとき、私などは単純に韓国がどうだなどと言えなくなる。もちろん、こだわりなく明るく理解し合えればそれでよいのだろうが、癒し得ない傷を負った――そしてこちら側が負わせた――人も少なくない。それを思うと、足がすくむような思いがするのである。
 これは、日韓両国のカトリック教会が努力して完成した本。韓国側の企画により成り立ち、日本でも発刊することとなった。
 韓国から見た歴史というものが、新鮮に見えた。というより、いかに無知だったかと自分が恥ずかしくなった。日本の側からの歴史を、相手側から見るとどうなるか、実はあまり知らなかったということが判明した。
 生憎、これは自虐ではない。韓国の視点である。隣国でありながら、私は、アメリカやヨーロッパの国々ほどには、韓国の歴史を知らない。そして、その歴史を知らないままでは、朝鮮の問題にも何も言えなかったはずである。一部だけが取り沙汰され、なんだかんだと議論が起こるが、朝鮮半島の歴史を通史で読むというのには、こんなに意義があったのかと、いまさらながら驚く次第である。
 とくに、これはカトリック教会が企画したせいもあってか、韓国へのキリスト教の伝道のことが幾らかでも書かれてある。これにも驚いた。知らなかった。韓国では今ではキリスト教の国のようになっているが、その発端は、たんに宣教師が来て云々というものではないのだ。自分たちから求めに行ったというその思いを知ると、なるほど韓国の人のあの信仰の激しさにはそういう背景があるものかと納得するような気がしてくる。
 ネットの情報で、私も比較的最近知るようになった、韓国の人や事件のことも、書いてある。そのことを知らない人も依然として多い。この本が、「ともに読む」本として、役立つように祈りたい。




Takapan
ホンとの本にもどります たかぱんワイドのトップページにもどります