本

『ものごとの「格付け」事典』

ホンとの本

『ものごとの「格付け」事典』
安部直文
日本実業出版社
\1470
2010.4.

 いかにもハウツーもの、ビジネスパーソン好みの本である。啓発ものなのであろうが、サブタイトルにあるように「意外に知らない世の中のランクがわかる」というのもうなずける。これだけ一度にあらゆる格付けを一覧できるとなると、それだけで貴重な資料であると言えるだろう。
 日常、ニュースや会話でなにげなく聞こえ、また使う言葉ではあっても、正確にその違いをどこまで分かって使っているかとなると、確かに頼りない。たとえば最初の項目からして、「政令」と「規則」とはどう違うのか、説明など専門家でなければおいそれとはできない気もする。「通達」や「訓令」も然り。自衛隊の階級など、マニアの領域のようなものなのかもしれない。へたをすると、警察の中での「警部」と「警視」との差異も分からない。
 こうして、政治や経済の分野が優先してまず掲載されているのであるが、話題はついでに社会の様々な分野にまで及ぶ。感染症のランクは保健上の細かな規定であるが、報道ではさも分かったかのようにどんどん出てくることになる。さらに仏像のランクなどとなると、笑える気もするが、それを教養として知っている人は決して多くはないのではないかと思われる。それにしても、仏教には10頁、神社には6頁使われているのに、キリスト教には2頁の一項目だけで終わっているというのは、どういうわけなのだろう。
 鶏卵のサイズの根拠や、日本酒やワインの表示の意味、囲碁や将棋界の地位も説明されているが、驚いたのはけん玉の検定にまでちゃんと目が届いていることである。これには感心した。
 その他スポーツにも言及され、最後は歴史的な組織も概観できるようになっており、日頃分かったふりをして耳にしているような言葉でさえ、組織の中のどれに当たるかなどが適切に理解できるようになっている。これは親切だ。
 これは悪くない。なかなか便利だ。一冊、リビングルームにあってもいいような気がする。何事も、きちんと理解するというのは、いいことだ。




Takapan
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