本

『会議のルール』

ホンとの本

『会議のルール』
宇都出雅巳
明日香出版社
\1365
2006.11

 あたりまえのことなのに、なかなか改善されないもの。政治の世界の話ではない。私たちの身近な、「会議」というやつである。
 これが、どうにもうまく回らない。よい会議だった、と言えるものには、めったに出合わない。それは、会議に出ている人たちが悪いのであって、自分が悪いのではない――と、大抵の人は思っている。
 しかし、企業において、会議には莫大なコストと労力がかかっている。それが、いつも力関係の中で、言いたいことも言えず、言えば食いつかれということで、仕切り屋の言いなりになるしかないという始末。あるいは、言ってしまったばかりに、その後の人間関係が崩れたり、ついにはつまはじきに遭ったりと、散々な結果になることも。
 いや、そもそも会議に実入りがない、それが私たちの常識となりつつある。
 それでいいのか。いいはずはないのに、何も改善されない。本当に、政治の世界のような話である。
 この中堅のビジネスマンたる著者は、そのような会議を意味あるものに変えることのできる、100個のルールを整理した。何もこのルールをすべて実行しなければならないというのではないが、著者も言っているように、このうちの一つでも二つでも、現実にやることができるものは、あるかと思う。
 道具から、人間関係から、ちょっとした発言の促し方、さらには途中で席替えをしてみては、というふうなアイディアまで、あらゆる角度から、会議を有意義なものにするための提案がなされている。そのどれもが、可能性を秘めたものであると感じられる。
 企業の知恵だからハウツーものだろう……それはそうだが、この「会議」というのは、何も営利企業しかやらないものではない。教会でもそうだ。教会の会議の、なんと無収穫な終わり方の多いことだろう。祈りましょう、委ねましょう、で締めくくると、なんとなく教会的な結び方のようであるが、結局のところ何も決まっていない、何も力になる動きが始まらない、ということは、ごく自然であるようにも見える。
 教会が動き出すために、この本にあるアイディアを、少しでも採用してみてはどうだろうか。それは不信仰などとは無縁のものだ。もっと謙虚に学びたいと切に思う。




Takapan
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