本

『2倍熟睡法』

ホンとの本

『2倍熟睡法』
井上昌次郎監修
PHP研究所
\1260
2006.2

 このような健康法の類の本には、いつも失望させられていた。テレビで健康法オタクになるような番組があるようだが、そのどれもが、真面目に取り組む価値のないものばかりである。およそ、無数にある健康法の中で、自分の気に入ったものをちょっとやってみて、しかもそれを追究するなどということもなく、数日で飽きてやめてしまう、というのがいいところではないのだろうか。これでは、まるで占いと同じである。
 病気と闘うためには、真剣に、これを守らなければ命がない、という思いで続ける覚悟が要る。それを、健康法云々は、茶化しているかのようにしか、見えないのだ。
 はたして、睡眠時間である。私は、かつては長かった。そして、8時間取らなければ、という強迫観念みたいなものもあった。大学のときには、生活も乱れたが、学業や仕事に影響するような睡眠での失敗はなかった、と言いたい。現実には、あるけれど。
 それが今や、短いのだ。8時間という呪縛から解かれたのも一因だが、パソコンのせいであるのかもしれない。だが、現代生活は一概に、睡眠時間を短くしているのは確かだろう。昔は、11時というのはもう夜のいかがわしい世界ばかりの時刻であって、だからその時刻をタイトルにする大人の番組があった。今では、放送コードなどもあるのだろうが、あのようなお色気番組は、11時はもちろんのこと、深夜に至っても殆どお目にかかれない。
 この本のサブタイトルは、「朝からシャキッと仕事ができる!」というものだが、このような題は、中身と合致している。気持ちよい目覚め、健康な一日の始まりをもたらす眠りというものについて、様々な角度から説明がなされている。また、大事な点は幾度もくり返されている。実に読みやすく、また心に入ってきやすい本であった。
 小さな本であるにも拘わらず、およそ思いつくあらゆる角度から、睡眠についての疑問を解き、アドバイスを重ねていくのは、見事という感じがした。
 惜しむらくは、この本に限らないことだが、索引がないこと。後から、あの点をもう一度調べたい、と思うときに、なかなか調べることができないのである。残念ながら、これは目次では分からないのである。実用書を作る立場にある方へ、索引の必要は、切にお願いしたいことである。




Takapan
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