本

『いろはカルタ辞典』

ホンとの本

『いろはカルタ辞典』
時田昌瑞
岩波書店
\1575
2004.11

 図書館に入ったので、話題の本を借りてみた。
 面白い。予想以上の面白さだった。
 そもそも、「事典」ではなく「辞典」であるのがミソであった。カルタのコレクションから、その画像がふんだんに盛り込まれているのみならず、そこで採用された言葉の意味から、その言葉が採用された背景なども丁寧に解説されている。中には、今は使われない諺があるなど、興味深い。そこには、いわゆる「差別語」も扱われていたことが告げられる。
 江戸系と上方系とでは、カルタがまるで違う。その江戸系の「い」はご存知「犬も歩けば棒に当たる」である。これは、本来、不運に出合う意味であり、今では幸運があると解する人も現れた――と思ったら、江戸系のカルタには、幸運の意味が多い、と記されてあった。これは勉強になった。
 中には「若人は国の柱」などのように、諺としてその言葉が他で使われた記録がない、というようなものもあるらしい。道徳的な意味合いの強い時期のカルタだそうで、聞けば時代的状況を想像してしまう。また、「夜道に日の暮れたためしなし」のように、昔は使われながら今は使われない諺もある。
「よく遊びよく学べ」は意外にも西欧からの言葉だそうで、All word and no play makes Jack a dull boy.の意訳だとのこと。
 私のような者は「葦の髄から天井(上)を見る」ようなわけで、教訓になる言葉をいろいろ学ぶことができる。
「蝋燭は身を減らして人を照らす」とは、自らを犠牲にして人を助ける意味。A candle lights others and consumes itself.を元にしているらしい。カルタの絵柄は、蝋燭と共に、キリストの十字架。このカルタを知っただけでも、本を開いてよかったと思った。




Takapan
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