本

『早起き・早寝・朝ごはん』

ホンとの本

『早起き・早寝・朝ごはん』
鈴木みゆき
芽ばえ社
\1890
2005.2

 我が家でも、少しばかり夜更かしする子はいた。私が夜遅く帰宅するためである。だが、直感的にもそれではいけないということは感じていたし、夜更かしはすぐに修正された。私たちの直感が健全であるというのは、こういうことを謂うのかもしれない。
 そう思っていたら、やはりとんでもない親がいるらしい。何らそこに疑問を抱かないで、子どもが朝寝坊する生活を当然としている。いや、母親自身が昼前に起きる生活をしているから、子どもにしても、そのころに起きるのが当然となっていく。そのことは、午前様が通例の子どもの生活の姿が浮かび上がっていく……。
 著者は、保育という立場から扱っている。保育園の子どもは可哀相だ、などという世間の一部の眼差しには、猛烈に反対する。保育園だからこそ、生活のリズムがかろうじて守られている子どもが、いかに多いか。保育園があるからこそ、まだ救われていると言える場面が少なからずあるのだ、と。
 それも、ただ感覚的に述べているわけではない。様々な角度から、親へのアンケートや、保育園での調査をデータとして集め、そこから語っているだけに、説得力もある。
 ちょっとうまく言い過ぎかな、と思われることもないわけではないが、著者やそのグループの主張というものは、十分肯けるものとなっているし、かといって急激に理想論に走るということもなく、きわめて現実的な対応を心がけていることも、よく伝わってくる。すべては、保育という現場における対処の仕方なのである。
 となると、この本は、親こそが真剣に読まなければならないということになる。
 当たり前のことが当たり前ではなくなったとき、人間の「生きる力」は急激に衰えてゆく。できれば、小学校や中学校などをはじめとする教育関係者は、すべてこの本の告げている内容に触れておいてもらいたいと、強く願うものである。




Takapan
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