本

『はたらく細胞猫1・2・3・4』

ホンとの本

『はたらく細胞猫1・2・3・4』
蒼空チョコ原作・かいれめく漫画・清水茜監修
講談社
\690+,690+,720+,720+
2024.1,7,12.;2025.7.

 テレビアニメでも人気だった。少なくとも私は好きだった。その後様々なシリーズが登場する中で、全部を読むわけにもゆかないと放置していた私だったが、「猫」というテーマには、レセプターがピンと立った。
 そのときすでに単行本化されていた第四巻までを一度に入手。堪能した。
 地域猫の活動の末端として協力している。実際に餌を与えたり、住まいの世話を労するということのない、威張って言えないような立場である。コロナ禍の中、医療関係者として妻の苦労といったら、心労も含め、ただならぬものだった。あの現場は、医療関係者ならば殆どの人が理解してくださることだろう。逆に言えば、一般の人には、そこまでとは思えないようなことが行われていたのである。
 そのとき、猫に出会った。猫たちに、癒やされた。地域猫の活動についても知るようになった。
 その後、猫たちが少なくなってきた。ある意味でよいことである。飼い猫として養われる子が次々と現れたのである。他方、哀しいこともあった。暴力で殺された子がいた。車に轢かれた子もいた。しかし、病死した猫は、もっといた。
 フードを調達するなどしているうちに、猫は腎臓が弱いことを知った。漠然とそうした知識を、自然に得ていたのではあったが、その仕組みについては、獣医ではないし、詳しく知ろうとはしていなかった。
 そこへ、「はたらく細胞」である。擬人化されたこのシリーズについては、私はアニメで触れていたが、推しの声優が制御性T細胞を演じており、2025年にノーベル生理学・医学賞を坂口志文氏らが、制御性T細胞の発見の故に受賞した。世間もバズったが、私も改めて「はたらく細胞」の凄さを覚えた。当たり前のように、制御性T細胞のことなど、それなりにだが知っていたからである。テレビの最終回を2週にわたって飾った「がん細胞」では、制御性T細胞がキラーT細胞ががん細胞を攻撃しようとするのに立ち向かい、実に切ない役割を演じていた。
 このような「はたらく細胞」の猫バージョンである。その腎臓についても、もちろんすでにここに描かれている。ある調査では、「10歳以上の猫の3〜4割、15歳以上の猫の8割が慢性腎不全だった」という。慢性腎不全とは、「腎臓へのダメージの積み重ねで無数にあるネフロンがどんどん再起不能になり、機能を維持できなくなった状態」を言うのだそうだ。
 こうしたすべてが、ストーリー仕立てでどのようになるのかについて描かれており、アニメをご存じの方はお分かりだと思うが、その都度用語については短い解説がちゃんとついている。医学的な用語で、素人には理解の難しいものもあるが、ほどよく易しく解説してあるし、少なくとも用語そのものは印象に残る。手間を厭わず、何度も繰り返して登場の度に説明を施してくれるので、わざわざ意味を探しに戻らなくても済む。親切な設計である。
 もちろん、猫と付き合っていれば、それなりに身についた知識もある。マタタビの作用についても、幾らかは知っていた。ただ、猫について人間はなにもかも分かっているわけではない。研究によるとこういう説がある、という程度のことはたくさんあり、そのマタタビについてもそうである。しかし、虚構にならない程度に、うまくストーリーと解説は記されていると思う。  キャラクターとしては、筆を執った漫画家の味が出るわけで、元々の「はたらく細胞」と比べると、だいぶ趣の違うタッチとなっている。擬人化された細胞たちが、皆猫耳になっているのも、まあそれでよいかもしれないが、必ずしも私が好むタイプの画ではないかもしれなかった。細菌や敵たる相手も、「はたらく細胞」を踏襲したのもあれば、新たに立てられたキャラクターがあったことだと思う。大袈裟な描き方のようにも見えることがあったが、体内ではそれどころではない戦いが、いまこの瞬間にも行われていると思うと、免疫を含め、生物のはたらきというものに、敬服せざるを得なくなってくる。
 主人公としての猫ちゃんは、拾われた野良猫としてのミケちゃんである。4巻まででは、まだ避妊手術は受けていないようだ。これから、その問題も紹介されるかもしれない。室内飼いだから、妊娠の心配は要らないかもしれないが、避妊手術は病気予防のためにも有効だと考えられている。今後、どう描かれるか楽しみにしている。
 地域猫のボランティアさんたちは、当然こうした知識はおありだろうとは思うが、まだ読んだことのない方にも、楽しめるのではないだろうか。ボランティアさんの中には、弱った外猫を預かり保護し、治療のために獣医さんと連携して日々格闘している医療従事者もいる。そのときには周知のことばかりだろうとは思うが、お薦めしてもよいだろうか。




Takapan
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