『HANI-本』
右島和夫・若狭徹監修
群馬県
\900+
2020.4.
2025年、福岡県太宰府市の九州国立博物館で「はにわ」展が開催された。東京でも大好評だったというが、福岡でも人気が高かった。どうしても見たいという家族の意向で出かけたが、確かに面白かった。
立ち寄った売店には、はにわのグッズがたくさん並んでいた。少々買物をしたが、その中でこの本は、数ある解説本の中でも特異だった。なにより面白い。分かりやすさと楽しさの点で、他の解説とはコンセプトが違う。だがふざけているわけではなく、きっちりと必要な知識は的確に伝えている。こういうのが頭に入るのだ、という見本のような構成である。
これは、「群馬県公式はにわガイドブック[ハニぼん]」と称され、本のタイトルの上に掲げられている。下には、「あなたの知らない、はにわの世界」「イチ推しはにわ」「200体」とセンタリングされた文字が並ぶ。その周辺を、数々のはなわが取り囲んでいる。
群馬県は、はにわの宝庫だ。「はにわ」展で史上初の勢揃いなのだという5体の「挂甲の武人」も、群馬県の工房で作られたとされる。5体の個性は異なるが、製造工程は同じであるように思われる。もちろん、その他のはにわも多々出土している。このはにわの中に「馬」が数多いということが、「群馬」の名は、紀元700年頃の「車評(くるまのこおり)」に由来すると公式に説明されているが、これだけはにわで馬が登場すると、それも何か影響があるのではないか、とも考えたくなる。
埴輪(ここから漢字で表記する)の基礎知識を踏まえた上で、人物・動物・家形・器財・円筒という順に並べられて解説されてゆく。
年代や大きさなどの基本データはもちろんのこと、鑑賞のポイントを、様々なアングルから教えてくれる。後ろ姿のここがいい、とか、ここに飾りがついている、とか、ぱっと見では気がつかないような、くすぐったいところをよく教えてくれるのである。それは重箱の隅をつつくような意味ではない。専門家は当然注目しているものであろう。それらが、年代や環境を決めるために必要なデータとなったのだ。
それらが「国宝」であるとか、どこそこ指定の「重要文化財」であるとかも、一つひとつ示されているが、素人として、それらの価値を決める基準はどこにあるのだろう、と不思議に思った。
ちょっと愉快な解説については、イラストで「キャラ」がちょろっと喋ってくる。これが明るくていいし、ハッとさせられることもある。それらの個性も設定されていて、楽しい。「笑う埴輪先生」は、ほんとうに顔が笑っており、群馬県出土の埴輪について、2018年に人気投票を行ったときに、第1位だつたのだという。ほんとうに、笑っているとしか言いようがなく、見るだけでこちらも笑顔になる。癒やされる、と言えばよいかもしれない。
ところどころに、「はにわ教室」というコラムがあり、多数の埴輪を縦断して、あるテーマに沿って鑑賞する。たとえばヘアスタイル・アクセサリー・かぶりもの・メイクといった姿が人物埴輪では注目されるし、ほかの何々埴輪というのはどういうものか、についても、その全体的な意義や基礎知識を詳しく解説してくれる。
因みに、ネコの埴輪はないそうだ。弥生時代にはいたらしいが、埴輪としては見つかっていない。エジプトではネコのミイラもあったというから、この辺り、ネコとヒトとの関わりや文化について、はっきり違いが見られる。聖書にもネコは登場しない。
最後に、なんと素晴らしいおまけがついている。ペーパークラフトである。そのまま切り取って組み立てれば、数体の埴輪ができあがるというものだ。本当に切り取って作る人がいるのだろうかと案ずるほどだが、もちろん私は切り取るなんてことはできない。
そうして、ペーパークラフトができるということでお分かりの通り、本書は全編厚い用紙で作られており、頑強である。全ペーシがカラーで、150頁もあるのに、900円+税とは、絶対にお買い得である。一般書店で見たことがなかったので知らなかったが、Amazonにはちゃんとあった。但し、博物館の売店で買ったほうが、いまのところ金額は安い。太宰府にいらしたら、如何だろうか。売店に寄る分には、料金はかからない。

た
か
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ん
ワ
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ド