本

『はばたけ!先生』

ホンとの本

『はばたけ!先生』
くさばよしみ
なかさこかずひこ!画
フレーベル館
\1260
2005.9

 おしごと図鑑シリーズの7冊目ということで、しかも著者は教育者ではない。取材に基づいて作られた本である。本人が先生でないのか、などと思う必要はない。だからこそ、的確な紹介の仕方をご存知だということもありうるのだ。
 それにしても、子どもにものを教えている私からすると、「やられた」という感じのする本である。こんなにまで、小学校教師のすべてをばらしちゃっていいのか、という感想だ。先生がどのような視点でどのようなことをしているのか、まるで手の内を示してしまうようなものだからである。
 ふりがながあるのはもちろんのこと、イラストや説明自体も、小学生本人も読めるような形式の本である。しかしそれは、将来学校の先生になりたい、という思いを導くための画期的な紹介本である、というふうにとらえることもできそうである。
 バッグの中身から言葉遣い、授業計画や見えないところでの苦労、職員室の秘密など、子どもだけでなく親もまた興味津々の内容が立て続けに暴かれていく。そんなにばらしちゃっていいのだろうか、などと心配するふりはよそう。実に楽しい。
 教師志望の人はもちろんのこと、何も教師でなくても、何か人にものを教えることに関わっている人は、大いに参考になる知恵がたくさん隠されているのではないか。あるいは、子どもを相手にする人にもいい。小学校教師という対象のみを取り上げた本であるが、それだけて終わらせるのにはもったいない味がある。イラストが多く、あっという間に読める。書店でぱらぱらと開いてみただけでも、魅力に取り憑かれるのではないかと心配するほどだ。




Takapan
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