本

『ふしぎな数のおはなし』

ホンとの本

『ふしぎな数のおはなし』
芳沢光雄
石橋えり子絵
数研出版
\1554
2002.10

 算数や数学の大切さは、知る人は皆知っている。子どもたちに興味をもってもらうために、諸外国でもおもしろい読み物がつくられている。日本にも、もっとあってよいはずだ。ところで、その読み物が、可愛い絵本であるとしたらどうか。文字数はできるかぎり少なく、絵は思い切り可愛く……。
 そんな願いから、この本は作られた。絵だけ見ると、小学校低学年あるいは未就学児でもとっつきやすいことは間違いない。
 ところが、である。その数学的内容については、とことんレベルが高いのである。
 「スーパーマーケットのなぞ」では、私もぱっと読んだだけでは掴みにくい計算――たんなるわり算なのだが――が施されていたし、「牛乳パックのふしぎ」では、一本取られてしまった。
 あみだくじの話はじっくり考えなければ分からなかったし、総当たり戦の解説だと、高校入試でも出てこないような、全試合を何日間でどのように行うかという問題についてのエレガントな解答が載せられていた。エレガントといえば、ジグソーパズルの解答は思わず拍手を贈ったほどだ。
 ラムゼー現象については、完全に宿題扱いとなってしまい、なんて不思議なんだという思い出本を読み終わらなければならなかった。
 この本は、甘くない。これは中学生以上にむしろお勧めしたい。楽しい、と。




Takapan
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