本

『絵本と絵本作家を知るための本』

ホンとの本

『絵本と絵本作家を知るための本』
ママ100人が選ぶ……
中央公論新社
\1680
2006.8

 絵本は、好みもあるし、愛着などもあるだろう。書評に私が絵本を基本的に載せないのも、それを評価する立場にないと思うからだ。子どもが好きなら、それでいい。たまに大人もひきこむようであってもいい。絵本はそれぞれが宝であるし、その作品がすべてであって、説明を加える必要もない。そんなふうに、私は感じている。
 ていねいに作られている本である。女優などを通じて、絵本作家の生の声を聞き出しているのもいいし、なにより、絵本の紹介がふるっている。カラーで、見開きの中に、存分に作家の魅力を示すことに成功しているのではないかと思う。そう、これは、作家別の編集であり、好きな作家を挙げてもらったことから、まとめあげられた世界なのである。
 作品のたった一頁を大きく見せる。何冊かの代表作の絵本の表紙だけを見せる。これだけのことだ。だが、インパクトあるその編集は、絵本を読みたい、と思わせるに十分であるし、推薦者の短い文章も、これは読みたい、読み聞かせたい、と手が出そうになるだけの力をもっている。
 絵本入門としても、いい。絵本読み聞かせのボランティアなどをなさろうとする方には、このような魅力的な絵本紹介の本が力になるだろうと思う。
 個人的には、選ばれた作家とそうでない作家との間に、複雑な感情をもつことがあるかもしれないが、私も単純に、その一人である。外国の作家として名を連ねた人々の世代がやや古い。新しい外国の絵本に、さほど最近のママさんが通じていない状況を想像した。ローレン・チャイルドは、私の好きな一人。絵本がミュージカルにもなってノリノリの作家であって、その子どもの世界がリアルで、コラージュされた図のデザインや活字の配置など、斬新だ。
 などと、個人的な好みをあまり言うべきではないところだろう。




Takapan
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