本

『「電池が切れるまで」の仲間たち』――子ども病院物語――

ホンとの本

『「電池が切れるまで」の仲間たち』
――子ども病院物語――
宮本雅史
角川書店
\1,200
2003.12

 1998年6月、11歳という幼さで、宮越由貴奈ちゃんは世を去った。
 5年半にも及ぶ闘病生活の末、神経芽細胞腫により命を奪われた。
 長野県立こども病院の院内学級で、理科の時間、乾電池の実験をしたとき、そこに何かを感じた由貴奈ちゃんは、その思いを詩にした。富士山とスズランの絵をバックに、手直しする必要のないほどの完成度をもって、その詩はつくられた。
 この詩は、誰からともなく伝えられて、人々の心をうった。いじめが止まなかった学校から、いじめが消えた。捨て鉢だった子が、医師になる決心をした。もはや命を大切にするというテーマで授業をしたり講演をしたりする際にしばしば引用される詩として、さらに多くの人にその命が伝えられている。
 その詩をここでも引用させて戴く。

 せ  だ  命  そ  ま  命  と   ┐ で  命  神  月  何  命  電  命  で  人  命          
 い  か  は  ん  だ  を  言  命  も  が  様  日  年  は  池  も  も  間  は          
 い  ら  休  な  た  む  っ  な     な  か  が  も  そ  は  い  電  が  と          
 っ     む  人  く  だ  て  ん     い  ら  た  何  う  す  つ  池  生  て        命 
 ぱ  私  こ  を  さ  に     か     と  あ  っ  年  簡  ぐ  か  は  き  も          
 い  は  と  見  ん  す     い     人  た  て  も  単  に  は  い  て  大          
 生  命  な  る  命  る     ら     間  え  や     に  と  な  つ  い  切          
 き  が  く  と  が  人     な     は  ら  っ     は  り  く  か  く  だ          
 よ  疲  働  悲  つ  も     い     生  れ  と     と  か  な  切  た           宮 
 う  れ  い  し  か  い      ゜    き  る        り  え  る  れ  め           越 
    た  て  く  え  る    └      ら  も        か  ら     る  の           由 
    と  い  な  る              れ  の        え  れ        電           貴 
    言  る  る  の              な  だ        ら  る        池           奈 
    う  の     に              い           れ  け        み           ∧ 
    ま  に                                な  ど        た           小 
    で                                   い           い           四 
                                                    だ           ∨ 

 すでに『電池が切れるまで』――子ども病院からのメッセージ――と題した本が、すずらんの会を著者として2002年11月に出版されている。そちらも私は読んだ。今回は、フリージャーナリストの手により、子ども病院の何人かの子どもたちの姿がドキュメントとしてまとめられた。
 何も付け加えることはない。
 親が、あるいは大人が読むといい。子どもを愛するほか、自分がすることはないというふうに思えてくる。




Takapan
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