本

『大事なことだけを考える技術』

ホンとの本

『大事なことだけを考える技術』
鷲田小彌太
ダイヤモンド社
\1470
2005.6

 さて、どう評すればよいものか。
 哲学の世界でもちょっと有名で、「大学教授になる方法」というよく売れた本の著者でもある。
 つまりは、ビジネス書でちょっと潤いのある教授であり、かなり過激な言明もしているようだ。こういう世界では、はきはきものを言ったほうが歓迎されるのであって、当たり障りのないことを言っていては、見向きもされない。そして、事実成功した人の声というのは、どんな内容であれ、一定の評価を受けることが許されている。だって実際成功したのだから、と。
 この本も、かなり過激な言い方がなされている部分が多い。
 自分の生活や経験から出された知恵であり、まさに、私のように成功したいなら真似をしてみることを勧める、といったふうである。
 ビジネスマンが一日で目を通すことができるというのも魅力である。つまり、長い時間をかけずして、人生の成功の知恵を戴くことができるという具合である。この辺りが、ビジネスマンの心をうまくくすぐっている。
 精神生活をあけすけに語っているのも、逆に買い手の安心を得ることになるのだろう。
 時に、こうした啓発書は、時代の傾向を映す鏡として、覗いてみる。妙に宗教色を帯びた著者のものにも最近触れたが、どうにもいただけなかった。この本もまた、一時期一定の販売数を得るだろうが、もしも深く読み込んだ人がいたら、却って害を受けるようなことはないか、と心配するような香りがした。




Takapan
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