本

『キューブパズル読本』

ホンとの本

『キューブパズル読本』
秋山久義
新紀元社
\2310
2004.7

 現実とは何の関係もない抽象的な場所で、没頭できる遊びは、そう多くはない。パズルはその一例だ。
 パズルが嫌いと決めてある方は別として、少しでも考えてみようかしらと思う気持ちがあるならば、パズルというものは、人の知恵を逞しくしてくれる恰好の材料となる。
 ここにパズルのマニアがいる。自分で集め、研究したパズルを、ここに紹介してくれている。かつて、『知恵の輪読本』という本を出している著者である。今回は、キューブパズルを特集した。
 ルービック・キューブが夙に有名なようだが、ほんとうは人間の知的活動が始まってからその歴史は古いことこの上ない。立方体を使ったパズルは、実に多いのだ。
 私はこの一冊で、人の知恵の奥深さと遊びの楽しさを堪能することができた。いや、できたというのは言い過ぎかもしれない。ここに紹介してあるパズルに悉く挑み、試してみてからそれを言うべきなのかもしれない。
 中にはもちろん有名なものもあり、すでに知っていたのもある。しかし、知っていたというのと、それを解いたことがある、解けるなどということとは相当な隔たりがある。
 そのため、この本にも、パズルの解き方や正解はほとんど書かれていない。作り方はいくらでも書いてある。早速私は、その立方体の展開図をワープロで印刷できるように作り、教会学校で使おうと目論んでいる。以前に類似のパズルを使ったこともある。小学生の子どもたちに楽しめる範囲内でのものに限るが、子どもたちはこうしたパズルが概して好きである。
 パズル愛好家と呼ぶだけでは失礼にあたると思うが、こうした著者が心を込めて著した本が、実にありがたい。お手軽なクイズやゲームの紹介本はいくらでもあるが、全人類の知恵を集めたようなパズルの作り方や愛し方をまとめた本は、めったにないからだ。この手の本は、私は見かけたらなるべく買うようにしている。古本屋で見つけた、大月書店の『パズルをつくる』もそうであった。
 ダジャレクイズなどとは比べものにならない、充実感がここにはある。




Takapan
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