本

『コピー用紙の裏は使うな!』

ホンとの本

『コピー用紙の裏は使うな!』
村井哲之
朝日新書037
\756
2007.3

 サブタイトルは「コスト削減の真実」。
 ショッキングなタイトルは、本へ注目させるための最近とくに強い動向である。が、この本では、それがなかなか利いた象徴となっていた。このコピーの例は、何度も繰り返されるほか、そのコピーにまつわるコスト削減の実例も、豊富に記されていたのだ。看板に偽りナシ、というところだろう。
 要点は、電気代に代表される公共料金や、リース契約などの見直しをはかることで相当なコスト削減が見込まれること、また、人員削減は最もよろしくないやり方だということ、そんなふうに見えた。
 頭から地球環境のために、などという、およそ誰も真剣に考えていないことを掲げるのではなくて、経営者あるいは従業員の、目先の利益を第一とした取り組みを尊ぶ。そのことで、却って全体の利益にもなっていく。まるで自由主義経済の理論のようだが、コスト削減という、気がつけば重いテーマは、そういう考え方に尽きるものであるのかもしれない。
 まさに、コスト削減を生業とし、各種コンサルタントをしている著者であるために、実に説得力がある。ただし、電力契約の見直しなどのこなり具体的で込み入った話を長々とするよりは、もしかすると、つまらない稟議書を書かせるために何分の労働時間を使い、そのために何円無駄にしているかをもっと明確にしたほうが、よりインパクトがあったかもしれない。
 それにしても、顧客への対応を疎かにしている商売に出会うと、たしかに腹が立つ。この店はだめだ、の烙印を、顧客は平気でしてしまうのである。能天気なことに、店のほうでは、それを深刻に考えてなどいない。全く、問題であることに、気づいてさえいないのである。
 だから私は、親切心のつもりで、実名を挙げて、不条理な店を公開する。悪しからず。




Takapan
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