本

『猫の困った行動解決ハンドブック』

ホンとの本

『猫の困った行動解決ハンドブック』
高崎一哉
ワンダーブック☆どうぶつ出版
\1449
2005.11

 Q&Aでわかる、と銘打ってある。セクションの構成を明確にすることで、見易くしている例である。
 月刊『猫の手帖』に連載されているコーナーを編集したのが基本になっている本である。雑誌だからと侮るなかれ。その分かりやすさと、毎回読者を掴んで離さないサービス精神並びに明確な回答というものは、実に見習うべきものがある。
 ところで、犬派と猫派に人の正確を分ける、などという試みが時々行われるが、半ばくだらないと考えながら、私が猫を可愛がっていた時のことを思い出すことになるから、やっぱり自分はそのタイプなのかもしれない、などと思えてくる。この本を借りたのも、猫好きと言われて仕方がない。
 さすがに獣医である。しかも、猫への並々ならぬ愛情をお持ちでいらっしゃる。猫の気持ちを考えて、いわばその身になって考えて説明していくあたり、やはり素人には太刀打ちできない知識と実績、なによりも愛情がある。
 私も、この本を読んで、「なるほど、猫はそうなんだ」「分かる分かる、猫はたしかにそのようにする」などと、心の中で呟くことが多かった。
 案外、猫のことをこれほどコンパクトに、説明している本というものが、あまりないようにも思えたが、これは愛猫家の皆さんには、お叱りを受けることだろう。もっといいものがある、沢山出てますよ、などと。でも、この本、なかなかいいと思う私の捉え方は、たぶん認めてくださるのではないかと思う。何より、観念論ではなく、実際に飼われている猫の困った行動の相談からすべてが始まっているわけだから、きわめてリアルである。
 家の中で飼うという方法が通常になってきている中で、猫も、経験が乏しく、大人になりきれない猫が増えてきている様子が、その回答から窺えた。これは、猫だけの話ではなく、人間のことを考えた場合に、大きな教訓となるものだと感じられた。




Takapan
ホンとの本にもどります たかぱんワイドのトップページにもどります