本

『ローマ・カトリック教会の歴史』

ホンとの本

『ローマ・カトリック教会の歴史』
百瀬文晃監修・エドワード・ノーマン著
創元社
\3990
2007.12

 表紙には「図説」の文字があり、多くの図版が資料として添えてある。
 大部である。そして、2007年の出版だというから、翻訳そのものも、実にタイムリーになされてことになる。
 私も、図書館で借りている期間中には、全部は読めなかった。資料として手元に置いておきたい気もするが、私にとって高価であるので、当分図書館で見せてもらおうと思う。
 カトリック教会の通史である。しかも、それは冷静に、可能な限り客観的な形で描かれているように感じる。だからこそ、これは資料になりうる本だと思ったのである。
 私の目の前で大きくきらめいた言葉を1つだけ紹介したい。
「異端は宗教本来の純粋な価値観へのあこがれを示すもので、旺盛な活力の現われでもある。無関心は致命的だが、誤った考えは刺激をあたえてくれるという側面もある。」(100頁)
 ちなみに、訳者は月森左知。名前は表には出てこない。キリスト教や教会の用語について、日本の読者のために適宜解説を加えている。なかなかよい訳である。淡々とした調子の原文の雰囲気を壊さず、正確に訳出しようとしているように見える。
 監修者も解説しているように、カトリックをどういう感情で捉えようが、世界情勢の中で大きな位置を示すことには間違いない。この組織の歴史を知ることは、世界の運命に大きく関わっているのである。
 宗教関係者だけに読者が制限されるのはもったいない本である。しかも、宗教関係者でさえ読まないかもしれないと思うと、もっともったいないように感じる。




Takapan
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