本

『子どものボディセンスを伸ばす本』

ホンとの本

『子どものボディセンスを伸ばす本』
大島扶美監修
NPOライフサポート協会
山海堂
\1680
2005.3

 子どもの運動能力についての危機感がある。体格は向上したが、運動能力、ことに投擲能力が格段に落ちているというのだ。
 一部の子どもが、優れた指導に基づき、素晴らしい運動能力を開花させているのは事実である。オリンピックでのびのびと力を出す若者が、確かに日本には存在する。だが、平均を下げるような子どもが多くなったのも事実なのであり、二極分化が懸念されている。学力においてもそうだが、スポーツにおいてもそうなのだ。
 では、どうすればよいか。スポーツチームに入れればいいのか。そんなことではない。根性があればいいのか。そういうわけでもない。
 ごく単純な、当たり前のことに、私たちも気づかなければならなかった。霊肉二元論じゃあるまいし、どうして心と体とを別々に扱っていたのだろうか、と。
 心が体を意識することによって、体の動きをよくしていく。その逆に、体を使うことによって、健全な心が育っていく。古くから、こうしたことは格言としても言い習わされているではないか。
 自分の体を、体の動きを、どのように意識するか。それを、ボディセンスと呼んで、それを身に着けるための方法、心がけのようなものが、沢山の文章で記されている。ユニークなイラストも含めて、たいそう読みやすい内容となっている。凡ゆる事例が、非常に具体的であり、なおかつ、効果的に理論的である。
 また、グループのメンバーが、章毎にかき分けているため、テーマや視点が分散し、読んでいても飽きないように思う。
 人の痛みを分かるというのも、自分の体を自分で意識するところからできるのだというふうな指摘には、本当にそうだと改めて肯いた。自分を愛することが他人を愛することにつながるというのが、聖書を解釈する一つの有効な視点だが、私たちはこの本が提案するように、もっと子どもたちに、自分の体を愛することを熱心に伝えていきたいものだとつくづく感じたものである。




Takapan
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