本

『そのブログ!「法律違反」です』

ホンとの本

『そのブログ!「法律違反」です』
前岨博・早坂昌彦・石塚秀俊
ソフトバンク新書
\735
2008.2

 知らなかったではすまない知的財産権のルール。
 そうサブタイトルが付いている。長い。新聞のリードのようだ。
 手早く簡潔にまとめられた、読みやすいまさに新書。深く考える必要はない。法律でこういう場合にどういう適用がなされるのか、ということが明解に示される。章毎に、個人のレベル、個人と会社との関係のレベル、会社と会社のレベルなどに分けられているので、読む方も概念を整理しやすい。
 個人レベルでの知識を期待するとすれば、やや期待はずれに終わる。一応の理解のある人が読まなければ、分かりにくいこともあるし、内容的にも、もっとこういう場合はどうなるのか、と疑問が生じることだろう。しかし、むしろ会社と個人あるいは会社相互の知的財産の取り扱いについての実情や基本的考え方を知るためには、なかなか分かりやすい本ではないかと感じた。
 とくに、個人がブログで発表している発明を、たとえば商品化することで、そのブロガーが権利侵害を言えるかどうか、という点で、それは先使用権という点で、利用したほうのものになる、という点は、気をつけるべきことだと感じた。新規性が薄いゆえにその会社が特許を取れるかどうかは微妙であるにしても、もし特許を取れば、発明者であるブロガーは後から製品化すれば、むしろそちらが訴えられるというのだ。アメリカは例外として、このような考え方により先願主義を採用しているのだという。
 その他、会社として、特許権を数多くもっていることの善し悪しなど、興味深いことも記されている。とくに、特許権の更新料の一覧表など、私は初めて見たので面白かった。
 本は最後に、新しい「交通ルール」して、こうした知的財産権について皆が理解しておかなければならないだろう、と述べており、なるほどこれからの時代は万民がそのような理解でウェブや情報をとらえなければならないのだと理解した。
 例によって、タイトルがこれでよいのかどうか、私は疑問だが、どうにかして引っかかりをつけようという出版社の苦労も垣間見るような思いがする。




Takapan
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