本

『ブログ白書2007』

ホンとの本

『ブログ白書2007』
野村総合研究所ブログ調査チーム+シックス・アパート株式会社
オーム社
\3990
2006.12

 これは個人で買うというよりは、業界関係者が戦略的に研究するために調えておくべき資料なのであろう。図書館には様々な本が入荷する。
 調査アンケートの資料を掲載しているわけだが、それをどう解釈するかが前半に記してある。
 ウェブログが無料で整備されていくにつれ、誰でも気軽にそれを始めることができるようになった。プログラミングの知識もHTMLの知識も全く必要なしに、文字さえ打てれば、小学生でも簡単に、自分のウェブサイトが構築できるのである。
 当然そこにはネットのルールや法的問題も関係してくるのであるが、そうしたどこかセンセーショナルな部分をマスコミ的に取り上げるのではなくて、そもそもブログを開設したのは何故かという動機や、ブログをどう思いつつ、どういう頻度で更新しているのか、あるいは、コメントを入れたことがあるか、それは何故かなど、ふつう表には現れてこないところまで、尋ねることによって露わにしていく。これが、なかなかよい資料になる。
 たとえば、自分が作ったブログを何人かの人が見ているということは、カウンターで簡単に分かるのだが、誰もコメントを残さないということで、苛々している人がいる。邪推して、眺めているだけで書かないのは卑怯だ、みたいに記してあるブログを、何度も見たことがある。また、コメントやゲストブックを要求するような書きぶりも多い。
 これを見ると、まるでコメントするのが当然であるかのような強迫観念を抱いてしまいそうだが、現実にコメントを「したことがある」人は、回答者の40%に過ぎず、しかもそのうち半分以上の人は、コメントをあまりしたくないと考えるタイプであるという。そもそも、ブログ開設者は全体の4人に1人であったことを含めて考えると、ブロガーの全員がコメントをどんどんやりたがるタイプでもないわけである。
 コメントをしたことがなく、するつもりもない人が、全体の3人に1人であることを考えても、そもそもコメントがそうそうくるものではないということが分かるだろう。
 自分に関心をもってほしいのであろう。友人を増やしたい、という動機でブログを開設している人は、かなり多い。自分の意見を知ってほしいというのもその一つに含むことはできるだろうが、それより、他人とのつながりを求めていることが端的に狙いとして見えてくるようなアンケート結果もある。特に女性にそれが強いそうだ。
 そのために、自らも積極的に相手のブログにコメントし、語りかける。相手に共感する姿勢をとり、友だちだ、という意識を共有する。お返しの意識の強い日本人は、訪問者のブログに出かけて行くことをしなければ、冷たいと称されることを知っている。こうして、擬似的なつながりが形成されていく。しかし、それは直接顔を合わせるわけではないから、切ろうと思えばいつでも切ることができる。何かの感情のぶつかり合いから、激しい言葉の応酬になっていくこともありうるし、現に起こっている。
 バーチャルな関係の中で、様々な傷つけ合う出来事も起こる。
 いやはや、この本は、そんなところを述べているのではない。企業がブログを通してマーケティング開発をするのに役立つような資料に過ぎない。あなたは、どんなふうにこのデータを活用することができるだろうか。




Takapan
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